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「世界自然遺産」 詳細解説

読み:
せかいしぜんいさん
英名:
World Natural Heritage

世界各地に、人類共通の資産として未来へ伝えていくべき自然環境があるが、開発などによる破壊の危機に常にさらされている。これらの自然を守るために、1972年のユネスコ(国際連合教育科学文化機関)総会で「世界遺産条約」が採択された。人類にとってとくに重要な価値を有し、将来にわたって保全すべき遺産を世界遺産委員会が認定し、リスト化して保全を図る仕組みだ。世界遺産には、世界自然遺産世界文化遺産、そして両方の価値を備えた複合遺産の3種類がある。

世界には、2014年12月現在で197件の自然遺産と31件の複合遺産がある。代表的な自然遺産として、米国の「グランドキャニオン国立公園」、ブラジル及びアルゼンチンの「イグアス国立公園」、オーストラリアの「グレートバリアリーフ」、ザンビア及びジンバブエの「ヴィクトリアの滝」、アルゼンチンの「ロス・グラシアレスの滝」、インドネシアの「ロレンツ国立公園」などがある。また、オーストラリアの「カカドゥ国立公園」や「タスマニア原生地域」などは、複合遺産として登録されている。

日本には18件の世界遺産があり、自然遺産は登録順に鹿児島県の「屋久島」、青森・秋田両県の「白神山地」、北海道の「知床」、東京都の「小笠原諸島」の4件だ。また、将来の文化遺産を目指す資産の一覧を暫定リストという。日本は2013年1月に、「奄美・琉球」を自然遺産の暫定リストに加えることを決めた。一方、2013年に登録された富士山の場合、1990年代から自然遺産としての登録を目指したが難航したため、文化遺産として改めて登録を目指し成功した。

世界自然遺産として認定されるには、「顕著で普遍的価値」があることが必要だ。大きく3つの条件を満たさなくてはならない。第一に、自然美、地形・地質、生態系生物多様性という4つの評価基準のひとつ以上に適合する必要がある。第二に、適切な面積があり、開発の影響を受けず、自然本来の姿が維持されているなど「完全性の条件」を満たしていることが求められる。第三に、保護管理が十分に行われていなければならない。

登録までの手続きは、まず国が推薦候補を記載した暫定リストを作成し、ユネスコ世界遺産センターへ提出する。その後、準備作業や推薦書の提出を経て、専門家で構成された国際記念物遺跡会議(イコモス)が審査や現地調査を行う。そして、イコモスが評価結果を勧告し、世界遺産委員会で登録するかどうかが決まる。このため、暫定リストの提出から登録決定までには最低でも数年はかかる。

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