サイト内
ウェブ

「野鳥」 詳細解説

読み:
やちょう
英名:
Wild Bird

地球上には、私たち人間を含むほ乳類のほかにもさまざまな生物が存在する。背骨のある脊椎動物の中で、一部の種類を除いて空を飛ぶことのできる恒温動物が鳥類だ。鳥類は体の表面に羽毛が生えていて、先祖である爬虫類と同じように卵から生まれる。脚は細くて長く、鋭い爪や幅の広い水かきをもつものなどさまざまな種類がいる。鳥類のうち、山野や水辺など自然の中で生きる鳥を「野鳥」という。ペットや、狩りに用いる目的で飼われているものは除く。世界には約1万種の鳥類がいて、日本鳥学会によると、日本では24目・633種の鳥が記録されている。

日本にいる野鳥は次のように分けられる。アビ目、カイツブリ目、ミズナギドリ目、ペリカン目、コウノトリ目、カモ目、タカ目、キジ目、ツル目、チドリ目、ハト目、カッコウ目、フクロウ目、ヨタカ目、アマツバメ目、ブッポウソウ目、キツツキ目、スズメ目、その他の目。これらの「目」の下に「科」がある。たとえば、街中でよく見かけるスズメは、スズメ目ハタオリドリ科に属する。また、同じ海鳥でもウミネコはチドリ目カモメ科だが、アホウドリはミズナギドリ目アホウドリ科の仲間だ。このように日本で見られる野鳥にはさまざまな種類がいて、いろいろな分類の仕方がある。

一年を通じてすむ場所や行動パターンからは、留鳥、漂鳥、夏鳥・冬鳥、旅鳥・迷鳥などに分けられる。留鳥は、スズメや一部のカモのように一年中同じところで暮らす鳥だ。漂鳥は、日本国内を季節に応じて移動する鳥で、ウグイスやモズなどがいる。夏鳥は、ツバメのように春から夏にかけて日本で繁殖し、寒くなると暖かい南の国や地方へ渡る鳥で、冬鳥は、オオハクチョウなどのように寒い土地から日本へやってきて冬を越す。夏鳥や冬鳥のことを渡り鳥ともいう。旅鳥は、渡りの途中で日本に立ち寄る鳥で、迷鳥は、通常は日本にはいないが台風や気候の影響で迷って来てしまった鳥だ。

学術的な分類以外にも、野鳥は生きる環境によって、山野の鳥と水辺の鳥などに大別される。山野の鳥には、スズメ、キジ、ハト、カッコウ、タカ、フクロウなどがいる。水辺の鳥には、ガンカモ類、ハクチョウ、チドリ、ツル、コウノトリなどがいる。このほかにも、大きさや羽のかたち、飛び方、巣の形、子育て法、えさのとり方など、野鳥を見分ける方法はさまざまだ。ただし、ほかの生物と同じように、都市化や開発の影響で野鳥を取り巻く環境は大きく変化している。

環境省が2012年8月に公表した第4次レッドリストによると、鳥類のうち絶滅(EX)がカンムリツクシガモなど14種、野生絶滅(EW) がトキ1種、絶滅危惧1A類(CR)がコウノトリなど23種、絶滅危惧1B類(EN)がイヌワシなど31種、絶滅危惧2類(VU)がアホウドリなど43種、準絶滅危惧(NT)がマガンなど21種、情報不足(DD)がオシドリなど17種となっている。このほかに、絶滅のおそれがある地域個体群(LP)として、青森県のカンムリカイツブリ群と、東北地方以北のシノリガモ群をあげている。

それでも、ラムサール条約の登録湿地が増え、国や地方自治体が1990年代から多自然型川づくりを進め、里地・里山里海の再生に力を入れた結果、生物の生息や繁殖に適した空間が増えつつある。その結果、生態系のほぼ頂点に位置する野鳥が、山野や海だけでなく都市やその近郊でも見られるようになった。その一方で、ムクドリやハト、ウのフン害など新たな環境問題も起こり、生物多様性に影響を与える場合もある。鳥獣保護法に基づき、許可なく野鳥の捕獲や卵の採取、飼養、販売などを行うことは禁止されている。

キーワードからさがす

gooIDで新規登録・ログイン

ログインして問題を解くと自然保護ポイントが
たまって環境に貢献できます。