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「ちきゅう」 詳細解説

読み:
ちきゅう
英名:
CHIKYU

(独法)海洋研究開発機構(JAMSTEC)は2005年7月に、世界最高の掘削能力をもつ地球深部探査船「ちきゅう」を完成させた。人類史上で初めて海底下7000mを掘り抜いてマントルに到達し、コアサンプリングを行うことを可能にしたライザー式の科学掘削船だ。地球深部まで達するパイプにより採取した柱状の地層サンプルの「コア」を船上で素早く分析して、地球や生命の姿を明らかにすることなどを目的としている。

海底深くからコアとして掘り出される地層には、地球環境の変化が刻まれている。コアの組成や成分を調べることで、私たちは生命誕生の秘密に近づくとともに、環境の変化を予測することができる。また、巨大地震発生域への大深度掘削も行うことが可能なため、地震が発生する仕組みや新たな海底資源の解明などにも役立てられる。「ちきゅう」は全長210m、型幅38m、船底から巨大なやぐらの最高部まで高さが130mあり、総トン数は5万6752トンもある。最大乗船人員は200人で、30人乗りの大型ヘリコプターが発着可能なデッキを備えている。ライザー方式とライザーレス方式の両方による科学掘削を行うことができ、ドリルの長さは最長で10kmにもなる。

ライザーとは海底から海面上にある設備や船まで流体を上げるパイプのことで、泥水を掘削坑で循環させながら掘り進めていくのがライザー方式だ。主に海洋石油の掘削などに用いられている。これに対し、ドリルパイプだけで掘削を行うのがライザーレス方式で、短い期間で多くの掘削を行うことができる反面、コアの回収率が低く穴の崩壊が起きやすい欠点があった。ライザー方式で掘削することにより穴の崩壊を防止し、安全に大深度からコアを採取することができる。

また、船内にX線CTスキャンや磁気分析器、各種顕微鏡など分析や解析に必要なさまざまな機器や研究施設を備えており、採取したコアの性質が変化してしまう前に素早く分析することが可能だ。ドリルにより海底深部から引き上げられたコアは約1.5mに切断され、ID番号を付して登録を行った後に非破壊計測を行うとともに、品質管理やサンプリング、微生物分析などを行う。その後、縦に半裁して片方を船上などでの分析に利用し、片方を保管する。

「ちきゅう」は、日米の協力による統合国際深海掘削計画(IODP)の主力船として地球探査を行っている。2012年2月から3月下旬にかけて、愛知県の渥美半島沖でメタンハイドレート開発に向けた海洋産出試験のための掘削作業を実施した。また、同年4月から、東北地方太平洋沖地震と津波を引き起こしたプレート境界断層の摩擦特性を解明するための調査掘削を同沖で行った。この調査中、掘削深度が7740mに達し、米国の掘削船が1978年にマリアナ海溝で達成した最深掘削記録を更新した。

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