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「桜前線」 詳細解説

読み:
さくらぜんせん
英名:
Cherry blossom front

毎年、春になると「桜前線」として桜の開花日や満開日が報道される。開花日とは、気象庁が各地で標本木として観測対象に指定している桜に5〜6輪以上の花が開いた日だ。満開日とは、その標本木で8割以上のつぼみが開いた状態となった日をいう。桜前線の観測の対象となる桜は、主にソメイヨシノだが、ソメイヨシノが生育できない地域では別のサクラが標本木として指定されている。南西諸島ではヒカンザクラ、北海道ではソメイヨシノやエゾヤマザクラ、チシマザクラだ。九州から東北ではソメイヨシノである。

桜の開花日などが同じ地点について、地図上に線で結んだものが、天気図の前線のような線になることから桜前線と呼ばれているが、気象庁は「桜前線」の用語は使用していない。「気象庁が天気予報等で用いる予報用語」によれば(2007年11月現在)、「桜前線」の用語は「使用を控える用語」に分類され、「桜の開花日の等期日線」に言いかえるべきとしている。

気象庁では、こうした桜の開花日などの観測を含めて、植物や動物などの生物の動きを指標とした観測を行っている。これを「生物季節観測」という。具体的には、各地の気象台などで、統一した基準によりウメやサクラの開花した日、カエデやイチョウが紅(黄)葉した日などの植物季節観測や、ウグイスやアブラゼミの鳴き声を初めて聞いた日、ツバメやホタルを初めて見た日などの動物季節観測を行っている。これらの観測を毎年行うことによって、季節の遅れ進みや、気候の違いなど総合的な気象状況の推移を把握することに利用している。

近年、桜の開花日が早まる年が増え、地球温暖化とのかかわりを警告する研究者もいる。龍谷大学教授の増田啓子氏によれば、過去50年間の春の気温上昇により全国平均で5日も桜の開花が早まっている。ソメイヨシノの南限に近い鹿児島などの地域では、冬の高温が開花日を狂わせ、春季の気温に関係なく開花するケースも出ているという(増田啓子「近年の桜の開花異常!?」地球環境研究センターニュース2005年8月)。東京でも、従来3月28日頃に開花していたが、開花が早まっており、2006年は3月21日、2007年は3月20日となった。

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