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「森林浴」 詳細解説

読み:
しんりんよく
英名:
Forest Therapy

いまから80年ほど前、レニングラード大学のトーキン教授が、森の中でリラックスできるのは、フィトンチッドと呼ばれる物質が関係していると発表し、森林浴の効用が注目されるようになった。フィトンチッドの「フィトン」とは植物、「チッド」とは殺すという意味のロシア語で、「樹木から発散し、周囲の微生物などを殺す働きをもつ物質」を意味する。樹木の香気成分が及ぼす作用と考えられていて、とくにスギ、ヒノキなどの針葉樹が活発にフィトンチッドを発散するといわれている。フィトンチッドは、人間の体に触れると、副交感神経を刺激して精神を安定させ、解放感を与え、あるいは肝臓の働きを高める酵素を活性化させるなど、さまざまな効用をもっているといわれる。

森林のもつ癒し効果については、ドイツなどで早くから注目され、自然療法としても取り入れられてきた。わが国でも、1982年に林野庁が「健康・保養に国内の森林を活用しよう」と提唱したときに「森林浴」という言葉をキャッチフレーズ的に使ってから、一般的に知られるようになった。林野庁では1986年に「全国森林浴の森100選」を選定、北海道の野幌森林公園、岩手県の安比高原ブナ林、東京都の高尾山、高知県の足摺岬自然休養林、鹿児島県の屋久杉林、沖縄県の西表自然休養林など、全国各地から100カ所の森を選び出している。これ以外にも、各県などで独自に「森林浴○○選」などと森林浴に適した森を指定する動きも活発で、多くの市民が森林浴を楽しむ時代になった。ちなみに、森林浴という言葉のもと、初めて森歩きが行われたのは赤沢自然休養林とされる。

2004年には民間企業と医療関係者からつくられる「森林セラピー研究会」が森林部と都市部で人間はどのような生体反応の違いが見られるかを実験し、睡眠中のストレス度、心拍数、血圧などを測定、森林浴のリラックス効果について医学的な調査を行っている。また、具体的な森林での実践・普及を目的とする「森林セラピー実行委員会」では、生理・心理・物理実験などの結果により、2008年4月現在、全国35カ所の森を「森林セラピー基地」「森林セラピーロード」として認定している。

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