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「食料自給率」 詳細解説

読み:
しょくひんじきゅうりつ
英名:
Food Self‐Sufficiency

日本の食料自給率の低さが社会問題になっている。食料自給率は、その国で消費される食料のうち、どの程度を自国内での生産でまかなっているかを示した割合だ。食料需給のあり方を考える上で重要な指標であり、わが国では通常、カロリーベース食料自給率(供給熱量総合食料自給率)が用いられている。これは、食料に含まれるカロリーを使って自給率の値を算出したものだ。米や肉、魚、野菜などの食料は重さが違うため、単純に足し合わせて比較するのは難しいが、カロリーベース自給率によって食料全体の自給率を表すことができる。一方、食料の国内生産量や輸入量など、食品の重さを使って算出するのが重量ベース自給率だ。また、カロリーの代わりに食品の価格を使って算出した生産額ベース自給率もある。

わが国のカロリーベース総合食料自給率は1965年には73%だったが、ここ数年は約40%と低迷し、2006年度にはついに39%となった。2007年には再び40%になったが、依然として低い水準だ。理由としては、天候不順の影響などによる砂糖やいも・でんぷん、みかんなどの農産物の生産量の減少や、米の消費量の減少などがあげられる。諸外国と比べても日本の食料自給率は低く、農林水産省の試算によると、2003年における主な先進国の食料自給率(カロリーベース)は、米(128%)、仏(122%)、独(84%)、英(70%)、スイス(49%)といずれも高水準だが、わが国は最低だ。また、人口1億人以上で食料消費が大きい国の穀物自給率でも日本は最も低い。

日本の食料自給率が低い原因は、長期的には、食生活の変化によって、1) 国内で自給できる米の消費量が減る一方で、2) 国内で生産や供給体制を整えることが困難なとうもろこしなどの飼料穀物を必要とする畜産物の消費が増加し、3) 大豆やなたねなどの油糧原料を使う油脂類の消費も増加していること、などがあげられる。また、短期的には、1980年代から家ではなく外食をとる「食の外部化」が進むにつれて、安く、品質が均一で、年間を通じて安定した供給を求める加工・業務用需要の高まりを受けた食料品などの輸入が増加したことが大きな原因だ。とくに1985年頃から、果実、肉、牛乳・乳製品、野菜の輸入割合が上昇し、国内での生産量と消費量の間に大きな差が生じている。さらに、少子高齢化の進展など社会状況の変化が食料自給率に影響するという指摘もある。

こうした食料自給率の低さに、国民は不安感を募らせている。内閣府が行った食料供給に関する世論調査によると、現在のわが国における食料自給率の水準については、7割の人が「低い」と認識している。また、将来の食料供給についても8割の人が「不安」と認識していて、8割が今よりも高い食料自給率を望んでいる。食料自給率を上げるため、国は、1999年に農業基本法に代わって制定された食料・農業・農村基本法に基づく食料・農業・農村基本計画の中で、2015年の食料自給率目標としてカロリーベースで45%、生産額ベースで76%という目標を定めている。そして、農林水産省などが、1) 米の消費拡大や油脂類の過剰摂取の抑制、2) 国産飼料の生産拡大、3) モデル産地形成などによる野菜生産の拡大、4) 戦略的広報の実施、などの施策を展開している。

日本の食料自給率を向上させるには、1) 健全な食生活に必要な知識や判断力を習得し、それを実現できるようにする食育の推進や、2) 外食産業など食品関連事業者による食事バランスガイドの活用、3) 栄養バランスに優れた「日本型食生活」の実践、4)地域で生産されたものを地域で消費する地産地消の推進、などが効果的だ。

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