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「身土不二」 詳細解説

読み:
しんどぶじ
英名:
Shindofuji

身土(しんど)は、人間の身体のことで、不二(ふじ)は2つとないこと。身土不二とは、人間の身体はその人が住んでいる風土や環境と切り離せない密接な関係があり、健康に生きるには、その土地の自然に適応した旬の作物を育て、食べよという考え方だ。福井県出身の医師・薬剤師で、明治時代に日本で最初に食育の重要性を唱えた石塚左玄が、19世紀末に発刊した「化学的食養長寿論」の中で、身土不二の重要性を説いている。身土不二が初めて文献に登場したのは、中国の普度法師が1305年に編纂した仏教書「廬山蓮宗寶鑑(ろざんれんしゅうほうかん」とされ、仏教用語では「しんどふに」と読む。

自分で育てたり、地元の顔が見える人がつくった食品を食べたりすることが良いという身土不二の考え方は、地域で生産された物をその地域で消費する意味の「地産地消」やスローフード、穀物菜食から成る食生活によって、健康、長生きを実践しようとする考え方の「マクロビオティック」などに通ずるところが多い。そのため、近年、食の安全や安心を強く消費者が求めていることから、身土不二は地域自給や持続可能な農業のスローガンとして各方面で使われるようになっている。

身土不二は、1999年版の環境白書で、「『食』を支える産業における取組」の一例として取り上げられたことがある。そこでは身土不二について、「体を冷やす働きをもっている食物は温暖な地域で夏に、体を温める働きをもっている食物は冷涼な地域で秋から冬に採れるものが多く、食物と気候の調和が自然と図られている」と解説。伝統的な日本の食生活のあり方を再評価すべき時期にきていると指摘している。

身土不二の考え方に基づいた食品づくりの取り組みは各地で行われており、「食のまちづくり」を進めている福井県小浜市では、2001年に全国に先駆けて「食のまちづくり条例」を制定し、さまざまな施策の主軸に食をすえている。とくに食育については、食育専門職員を配置し、食育サポーターを募集するなど、地域が一体となって推進する体制を整備。身土不二の考え方に基づき、地産地消を強く進めている。また、北海道は身土不二関連の市場拡大支援事業を行っていた。さらに、民間の取り組みも多く、兵庫県三田市のパスカルさんだフラワー店では、地場産の野菜や米粉を使ったパンを販売しているほか、静岡県菊川市には、郷土の素材を使ってお菓子をつくり、地元のチェーン店で販売する企業がある。

一方、アジアでも、身土不二をスローガンとして地産地消を推進する運動がある。農林水産省の地産地消推進検討会が2005年に公表した中間取りまとめによると、韓国で身土不二の運動が展開されている。これは、韓国の農協中央会や農業団体が中心になって、国産農産物など国産品の優先的な購入を進めるための活動で、同じような動きはイタリアやアメリカにもみられる。

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