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「省エネ推進方針」 詳細解説

読み:
しょうえねすいしんほうしん
英名:
Action Plan to promote Energy Efficiency

東日本大震災以降、日本全国で節電省エネ再生可能エネルギーの導入などの取り組みが盛んになっている。早くからエネルギーの節約と排出量取引などの地球温暖化対策に取り組んできた首都・東京は電力の需給両面で緊急対策を行い、2011年夏には東京電力管内の最大電力にして2010年より約1000万kW削減することに成功した。市民は日常生活に支障のない範囲で可能な限りエネルギーを節約し、企業は省エネルギー関連ビジネスへの参入や、最新の環境配慮型ビルの建設などを進めている。この勢いをさらに加速するため、東京都は2012年5月に「東京都省エネ・エネルギーマネジメント推進方針」を公表した。

「節電の先のスマートエネルギー都市へ」という副題が付されたこの方針は、全42ページから成り、省エネルギー対策の基本となる「賢い節電」について、電力不足への対応から得られた成果を確認した上で、3つの基本原則と具体的な対策を示している。今後必要なのは、工場の操業時間変更など「がまんを強いる」対策ではなく、ムダを徹底的になくすとともに都市の魅力や快適性を重んじて、需給ひっ迫時にも柔軟に対応可能な「賢い節電」であるという考え方を基本とし、次の3原則を提示している。まず、無駄を排除し、無理なく「長続きできる省エネ対策」を推進する。次に、ピークを見定め、必要なときにしっかり節電する「ピークカット」を実施する。そして、経済活動や都市のにぎわい・快適性を損なう取り組みは、原則的に実施しない。

これらの原則を踏まえて、事業所向け、家庭向けにそれぞれ7カ条から成る「賢い節電」のメニューを示した。事業所向けでは、照明について500ルクス以下を徹底し、照度の見直しを定着化する。空調について「実際の室温で28℃」を目安として、それを上回らないよう上手に節電する。OA機器についてエネルギー節約モードに設定するとともに、電力を「見える化」して効果を共有する。オフィス環境に影響を与えずに機器の効率をアップする。エレベータの停止など負担が大きい割に効果の小さな取り組みは原則的に実施しない。そして、電力需給ひっ迫の予告時に追加的に実施する取り組みを、事前に計画しておく。

一方、家庭向けでは、夏は冷蔵庫内の温度を「中」に、テレビを節約モードにそれぞれ設定し、白熱電球をLEDや電球形蛍光灯に交換する。「実際の室温で28℃」を目安にして、それを上回らないようエアコンや扇風機などを上手に使う。家電製品など省エネに努め、消費電力の大きい家電製品は平日午後2時前後にはなるべく使わない。ただし、猛暑日にエアコンの使用を無理に抑制するなど、体に悪い節電は行わない。

東京都ではこうした取り組みを定着させていくために、大規模事業所向けのセミナー開催や、中小規模事業所向けの「クール・ネット東京」による無料診断などを実施している。また、家庭向けでも約4000人のアドバイザーがエネルギーの節約についてアドバイスを行っている。東京都は対策を総合的に推進して、低炭素・快適性・防災力を同時に実現する「スマートエネルギー都市」への進化を図る方針だ。

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