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「日本版環境金融行動原則」 詳細解説

読み:
にほんばんかんきょうきんゆうこうどうげんそく
英名:
Japanese Principles for Sustainable Society

環境省が設置した日本版環境金融行動原則起草委員会(起草委員会)は、2011年10月に「持続可能な社会の形成に向けた金融行動原則(日本版環境金融行動原則)」をまとめた。同原則は、銀行や保険・証券会社などの金融機関が、持続可能な社会の形成のために必要な責任と役割を果たしていく上での行動指針となるものだ。国際的な金融業界の環境問題への取り組みは、この20年ほどで急速に進んだ。1992年に国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI)が設立されたのを皮切りに、2006年に国連責任投資原則(PRI)が起案され、事業融資の分野では2003年に赤道原則が定められている。

日本版環境金融行動原則は、環境金融(グリーン金融)に関する国際的な取り組みの進展を受けて、日本の金融業界として果たすべき役割と責任を明らかにするために策定された。社会を持続可能なものに変えていくには、その基盤の一つである金融のあり方をそれに適合したものに変える必要があるという認識から同委員会が設置され、趣旨に賛同した多くの金融機関が自主的に参加して策定に向けた議論を続けている。発起人は、国連環境計画金融イニシアティブ特別顧問の末吉竹二郎氏だ。

同原則に署名した金融機関は、業態、規模、地域などに制約されずに、7つの原則に基づく取り組みを協働して進める。まず、金融機関自身が果たすべき責任と役割を認識し、予防的アプローチの視点を踏まえて、各事業を通じて持続可能な社会の形成に向けた最善の取り組みを推進する。予防的アプローチとは、科学的な確実性が十分でなくても、環境や社会に重大な影響を及ぼす可能性が高いと考えられる場合には、その知見を重視する姿勢をとることだ。環境産業のように持続可能な社会の形成に貢献する産業の発展と競争力向上に役立つ金融商品やサービスの開発と提供を行うことも重要だ。

また、地域振興や持続可能性の向上する視点から、中小企業などによる環境配慮や市民の環境意識の向上、防災、コミュニティ活動を支援する。さらに、さまざまなステークホルダーの連携を促進するため、金融機関自らが連携の場へ参画するとともに主体的な役割を担うよう努力する。一方、環境関連法規を遵守することはもちろん、省エネや省資源による環境負荷の軽減に取り組み、サプライヤーにも働きかける。こうした取り組みに関する情報開示を積極的に行うことや、環境や社会問題に対する役職員の意識を向上していくことも重要だ。

同原則の策定に合わせて、同原則を実践するために、運用・証券・投資銀行業務、保険業務、預金・貸出・リース業務の業務別ガイドラインが採択された。同原則については、準備が整い次第、金融機関による署名が順次行われていく予定だ。また、署名金融機関による総会が2012年早々に開催され、グリーン金融への取り組み状況に関する情報と意見交換などが行われることになっている。

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