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「廃棄物処理法」 詳細解説

読み:
はいきぶつしょりほう
英名:
Waste Management and Public Cleansing Law

人間が社会のなかで生活したり、物の生産やサービスの提供などの事業活動を行ったりすると、不要な物も大量に発生する。国内で2008年度に排出された家庭ゴミやし尿などの総量は約4811万t、また事業活動に伴って排出された廃棄物の総量は約4億366万tにもなる。このようにぼう大な量の廃棄物の排出を抑制し、適正な分別や保管、収集、運搬、再生、処分などの処理を進めるとともに、生活環境を清潔にすることなどを目的として1970年に定められたのが、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(廃棄物処理法)だ。その前にあった清掃法に代わり制定された。

廃棄物処理法は、廃棄物をゴミ、粗大ゴミ、燃えがら、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物または不要物であって、固形状または液状のものと定義している。そして、事業活動に伴って生じた廃棄物のうち燃えがらや汚泥など20種類を産業廃棄物、これら以外の廃棄物を一般廃棄物と定めている。ただし、事業活動に伴って排出された廃棄物でも20種類に入らなければ一般廃棄物とみなされる。これを事業系一般廃棄物と呼び、オフィスから出る紙ゴミや段ボール、飲食店の残飯などさまざまな種類がある。また、爆発性や毒性、感染性がある廃棄物は、特別管理廃棄物として厳重に管理される。

本法は、国内処理の原則や、排出者が適正処理とリサイクルに関する責任を負うべきとする排出者責任の考え方など、廃棄物の処理にあたって必要な原理原則を定めている。そのうえで、事業者、国・地方自治体、土地占有者などの責務を定めている。たとえば、事業者は環境に配慮した製品設計を行わなくてはならず、建物の占有者には大掃除を行う義務があり、一般廃棄物の処理責任は市町村にある。本法は一般廃棄物の処理について、市町村による処理計画の策定や、処理業と処理施設の設置に関する許可、再生利用の特例などに関する規定を整備している。

一方、産業廃棄物の処理は、処理基準に従って排出事業者が自ら行うのが原則だが、許可をもつ業者に委託して運搬や処分を行わせてもよいことになっている。委託する場合は委託基準に従って書面で契約を交わし、産業廃棄物管理票(マニフェスト)の交付・保管などを行う必要がある。マニフェストについては電子化が進められている。また、産業廃棄物処理業の許可についても厳しく規制している。産業廃棄物処理業の許可には、産業廃棄物を排出場所から中間処理施設や最終処分場などへ運ぶ収集運搬業と、最終的に埋立などを行う処分業とがある。

排出場所から直接運ぶことが難しい場合には中継地点での積替え保管も認められるが、近隣トラブルにつながりやすくなかなか許可が下りないのが現実だ。また、排出者が処分業者の処理能力を確認せずに、収集運搬業者と処分業者を含めた3者間で契約を結ぶいわゆる3者契約は禁じられている。さらに、委託を受けた処理業者が処理をほかの者に委託する再委託や、運搬・処分業者による名義貸しも禁止されている。産業廃棄物処理施設の許可やその維持管理についても厳しく規制している。

本法はこのほかに、アスベストを含む廃棄物の無害化処理に関する特例や、輸出入に関する許可、環境大臣による基本方針の策定、廃棄物処理センターの整備、地下に廃棄物がある土地開発に関する指定制度、罰則などを定めている。また、本法と関連する政省令・告示などはこれまでに何度も改正されており、規制改廃の動向を注意して見ておく必要がある。2010年の改正では不法投棄に関する法人への罰金が3億円に引き上げられた。また、建設工事で生ずる産業廃棄物を排出場所以外の場所で保管する場合には、事前に都道府県知事へ届け出る制度などが創設された。

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