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「環境経済観測」 詳細解説

読み:
かんきょうけいざいかんそく
英名:
Observation of Ecology and Economy

2010年4月、環境省が公表したある調査結果が、環境に携わる人や経済人の注目を集めた。その名は「環境経済観測」。環境産業に焦点を絞って行われた、国内初の経済動向調査だ。企業の環境ビジネスに対する認識や、企業が供給する環境に配慮した製品・サービスの状況などに関する調査で、「環境経済観測調査(環境短観)」とも呼ばれる。2009年度は調査手法の検討もあわせた試行的なアンケート調査として、2010年2月に行われた。調査対象は東京・名古屋・大阪の上場企業などからランダムに抽出された2050社で、このうち486社から回答があった(有効回答率23.7%)。

それによると、現在の環境産業については多くの企業が閉塞感をもっているものの、6割以上の企業が今後10年にわたって発展していくと回答した。また、10年先に発展が期待できる分野として、次の製品・サービスがあげられた。1) 環境配慮型自動車(21.8%)、2) 太陽光発電システム(18.5%)、3) 再生可能エネルギー施設(18.1%)、4) 省エネルギー・省エネルギー管理(15.0%)、5) スマートグリッド(9.7%)。このうち省エネルギー管理には、1) 断熱材、2) 燃料電池、3) LED照明、4) 省エネ型照明器具、5) 高性能ボイラー、6) ガスコージェネレーション―などが含まれる。

また、回答企業のうち環境産業を実施しているか実施する予定のある企業は52.3%で半数ほどだった。このうち最も多い業種は省エネルギー・省エネルギー管理で、60社以上に及んだ。さらに、太陽光発電システムや環境負荷低減・省資源型製品などを扱う企業も多かった。環境負荷低減・省資源型製品とは、1) 環境対応型の塗料・接着剤、2) バイオプラスチック、3) サルファーフリーガソリン・軽油、4) DPF、5) 100 年住宅、6) エコマーク製品―などだ。

一方、環境省がこの調査とは別に行った推計結果によると、2008年度における環境産業の市場規模は約75兆円で、雇用規模は約176万人に上る。これは2004年度の約51 兆円と比べて拡大基調にあり、2020年度には120兆円を超すことも予想される。同省では、環境産業の動向と経済状況の関係を把握し、わかりやすく提示していくため、この環境経済観測(環境短観)を定期的に実施・公表する方針だ。

同省はまた、2010年8月に「環境経済情報ポータルサイト」を開設した。環境と経済との相互関係に着目した情報を整備、提供するホームページだ。環境経済観測をはじめとする各種調査結果のほか、環境と経済に関する基礎的な情報を紹介している。さらに、環境産業や企業の環境への取り組み、環境に関する投融資の状況や行政の環境施策などに関する情報も掲載している。

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