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「不都合な真実」 詳細解説

読み:
ふつごうなしんじつ
英名:
An Inconvenient Truth

不都合な真実』は、アメリカ、ヨーロッパ、アジアなど世界各地をまわり、地球の危機を人々に訴え続ける元アメリカ副大統領、アル・ゴア氏の講演活動の様子を中心に、ゴア氏の生い立ちやプライベートなエピソードなども交えて構成されたドキュメンタリー映画だ。監督は、米国で人気のテレビドラマシリーズの監督として知られるデイビス・グッゲンハイム。2006年にアメリカで公開された当初は77館という小規模だったが、その後急拡大し、ドキュメンタリー映画史上に残る記録的大ヒットとなり、2007年の第79回アカデミー賞では、最優秀長編ドキュメンタリー賞と最優秀オリジナル歌曲賞の2部門での受賞を果たした。

映画の中でゴア氏は、過去の気象データや、温暖化の影響を受けて変化する環境や、その中で翻弄される人々の様子など、多くの映像を用い、人類にとってただひとつの故郷である地球が、今、最大の危機に瀕していることを人々に訴えかける。『不都合な真実』というタイトルは、真実だと認めてしまうと変えなければならないことが出てきて、その変えることが特定の人にとって不都合となるような『不都合な真実』があるということを意味する。映画は、気候変動の問題への対策を積極的に取らない政府の姿勢を批判する一方で、他人事ではない環境問題に対し、生活の中でできる環境を守る努力を行うことの重要さも訴えている。また、「私にできる10の事」として、省エネルギー型の電化製品への交換、エコ・ドライブ、リサイクル製品の利用や、植林の推進、そして、環境危機について学び、行動に移すことなど具体的に10項目を挙げ、人々に取り組みを促している。

2007年10月、ゴア氏は長年にわたる環境問題への取り組みが認められ、「温暖化対策への理解を深めるために最大の貢献をした個人」として、気候変動に関する政府間パネル(IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Change)とノーベル平和賞を共同受賞した。ゴア氏とIPCCの受賞についてノーベル賞委員会は、「広範な気候変動は、多くの人類の生活状態を変更させ、脅かす恐れがある。大規模な人口移動を引き起こし、地球資源をめぐる競争を激化させる恐れもある。こうした変化は、世界でも特に弱い立場にある国々に、より大きな負担を強いることになる。国内部あるいは国同士の、激しい対立や戦争の危険も拡大する」と説明。地球温暖化により地球平和が脅かされうると指摘している。

一方、この作品に対して批判的な意見もある。2007年5月、イギリス環境・食糧・農村地域省は、「Sustainable Schools year of action(持続可能な学校行動年)」キャンペーンの一環として、この映画のDVDをイングランドの全ての中学校に配布したが、学校での公開に対して、「政治的活動である」という理由から保護者が告訴するという事態が発生した。これに対しイギリスの高等法院は、2007年10月、映画の内容は「大筋で正確である」として原告の訴えを退けたものの、9つの科学的な誤りがあると指摘。学校で上映する際には、教師らが生徒に対し、議論となっている部分を説明するよう求める判決を下した。たとえば、「米国を襲ったハリケーンカトリーナは、地球温暖化による」「キリマンジャロの雪が解けたのは、地球温暖化による」といったことが映画の中で言及されているが、科学的に断定できないとしている。

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