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「エネルギー基本計画」 詳細解説

読み:
えねるぎーきほんけいかく
英名:
Basic Energy Plan

エネルギー基本計画は、2002年に制定されたエネルギー政策基本法第12条の規定に基づき、政府が策定するエネルギー政策の基本的な方向性を示す計画だ。少なくとも3年ごとに検討を加えて変更することになっており、2003年10月に第1次計画、2007年3月に第2次計画、2010年6月に第3次計画が策定された。第3次計画には、2030年にエネルギー自給率と化石燃料の自主開発比率を倍増して自主エネルギー比率を約7割にし、電源構成における原子力及び再生可能エネルギー由来の電源比率を約7割にする目標が記載されていた。

2014年4月に閣議決定された第4次計画は、今後20年ほどの中長期について、取り組むべき政策課題と、長期的、総合的かつ計画的な方針をまとめたものだ。エネルギーをめぐる国内外の環境変化や、東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所事故の発生などを踏まえて策定された。全5章から成り、第1章「我が国のエネルギー需給構造が抱える課題」では、海外資源への依存度の高さや、エネルギー需要構造の変化、資源価格の不安定化、温室効果ガス排出量の増大などエネルギーをめぐる課題を再確認している。また、東電福島第一原発事故による重大な被害と、事故を機に露呈した原発の安全性に対する懸念について分析している。

その上で、第2章「エネルギーの需給に関する施策についての基本的な方針」で、エネルギー政策の原則と改革の視点を提示している。基本的視点としては、安全性(Safety)を前提としつつ、エネルギーの安定供給(Energy Security)を旨に、低コストでのエネルギー供給を図る経済効率性の向上(Economic Efficiency)を実現するとともに、環境への適合(Environment)を図る「3E+S」を打ち出している。一次エネルギーについては、再エネに関して、明確な数値目標は設定していないものの、太陽光、風力、地熱、水力、バイオマスなどエネルギーごとに取り組みを強化するとしている。

一方、福島の事故以降、稼働停止が続く原発を「エネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源」と位置付けて、原子力規制委員会によって厳しい安全基準に適合すると認められた場合には、再稼働する方針を明示した。プルサーマルなどの核燃料サイクルも推進していく。また、石炭天然ガス、石油、LPガスなどに関しても政策の方向性を示している。二次エネルギーについては、電気に加えて、コージェネレーションや再エネ熱などの利用促進のほか、水素社会の早期実現などの必要性を強調している。

第3章「エネルギーの需給に関する長期的、総合的かつ計画的に講ずべき施策」では、産業界及び家庭における省エネの強化と、デマンドレスポンスの活用、分散型エネルギーシステムの導入、原子力政策の再構築などが重要であるとしている。また、シェールガスシェールオイルなど新たなエネルギーの動向をおさえつつ、メタンハイドレートなど国産資源の開発を進めていくべきであると提言している。経済産業省の総合資源エネルギー調査会・長期エネルギー需給見通し小委員会は2015年1月に、原発や再エネなどの構成比率に関する議論を開始した。

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