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「クリーンディーゼル」 詳細解説

読み:
くりーんでぃーぜる
英名:
Clean Diesel

ガソリンを燃料とするガソリン車に対し、ディーゼル車は軽油を燃料としてディーゼルエンジンを動かして走る。ディーゼルエンジンは、一般にガソリンエンジンと比べて構造が簡単で、熱効率が良く20%程度燃費が良いとされているが、騒音や振動が大きく、重量が重くなる傾向があった。このため、日本国内ではディーゼル車は乗用車ではなく、大きな力が必要な貨物自動車や特殊自動車などに用いられるようになった。また、二酸化炭素(CO2)や一酸化炭素(CO)を多く排出するガソリンエンジンに比べて、ディーゼルエンジンはCO2の排出が少ないものの、人の健康に有害な影響を与える恐れが指摘されている粒子状物質(PM)や窒素酸化物(NOx)を多く排出する傾向があった。

このため、国はディーゼル車の規制を強化し、1999年の排ガス規制で、PMは0.25g/kwhの基準を満たすことを義務づけた。また、NOxについても1974年から規制が始まり、現在、規制開始前と比べてディーゼル車のNOx排出量は約4分の1に削減されている。さらに、環境省は2001年に公布した改正自動車NOx・PM法によりNOxとPMの排出基準を設け、規制値に満たないディーゼル車は東京や大阪などの特定地域内で新規登録できなくなった。これに加えて、東京大気汚染訴訟や自治体によるディーゼル車NO作戦などの動きもあり、国内ではディーゼル車に対する悪いイメージが固定化されてしまった。

しかし、ディーゼル車の排出ガス削減技術は、1990年代後半に革新的な進歩を遂げ、静かできれい(クリーン)な技術に生まれ変わりつつある。こうした、環境にやさしい新しい世代のディーゼル車をクリーンディーゼルと呼ぶ。とくに、長距離を高速で運転するドライバーが多い欧州では、クリーン化に加えて低燃費性と高出力のディーゼル乗用車の開発が進み、急速に普及した。直噴化や可変ターボ採用などの高性能化により、最新のディーゼル乗用車の動力性能はガソリン乗用車並みに上がり、排出ガス性能も大幅に向上した。また、1998年に導入された燃費の自主規制などの影響もあり、欧州ではディーゼル車が新車販売の約半数を占めるまでに至った。2003年の西欧におけるディーゼル乗用車の販売比率は約44%となっており、とくにオーストリア、ベルギー、フランスでは6割を超える。

日本でも、ディーゼル乗用車を再度市場に投入しようとする動きが自動車メーカーなどにあり、各社ともクリーンディーゼルの導入計画を相次いで発表している。ディーゼル車に対してガソリン車並みの排ガス性能を要求するポスト新長期規制が2009年以降に導入されることも、この動きに拍車をかけている。排ガス性能を大幅に改善したクリーンディーゼルは、大気汚染など環境問題の解決やCO2の排出削減など地球温暖化防止に役立つだけでなく、新燃料導入の受け皿として、また、産業競争力の強化の上でも重要な意味を持つ。また、バイオマス天然ガス石炭など多様なエネルギー資源から製造された軽油系燃料を利用することが可能となるため、エネルギー源の分散化が可能となり、エネルギー安全保障にもつながる。

2007年5月、資源エネルギー庁は、2030年までに運輸部門の石油依存度を80%まで削減し、エネルギー効率を30%改善するという2つの目標を実現するための手段の明確化を目的として「次世代自動車・燃料イニシアティブ」を公表した。この中で、次世代自動車・燃料の導入に向け、環境保全やエネルギー安全保障、国際競争力の強化を図る上で、クリーンディーゼルの環境性能を高く評価している。一方で、クリーンディーゼルを普及させていくためには、日本市場での悪いイメージを改善していくことや、初期投資段階でのコスト低減などの課題があると指摘。それらを解決するため、官民によるクリーンディーゼル推進協議会の設置を提言している。

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