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「水力発電」 詳細解説

読み:
すいりょくはつでん
英名:
Hydro Power

"水力発電は、高い場所から落ちてくる水の力で水車を回し、その回転で電力を発生させるシステムだ。水の量が多く、落差が大きいほど大きな電力が得られる。他の電源と比較して短時間(3分から5分)で発電開始可能であり、電力需要の変化に素早く対応(出力調整)が可能であるという特徴がある。日本は、山に囲まれた地形と水に恵まれた自然環境にあり、水力発電に適しているといわれる。水力発電は、利用面からは1) 流れ込み式(水路式)、2) 調整池式、3) 貯水池式、4) 揚水式に分けられるが、揚水式は夜間などに下池の水を上池に揚げ、必要な時に放流して発電するため区別され、それ以外が一般水力と呼ばれる。

本格的な水力発電所が日本に初めて登場したのは1892年で、以後1960年代初頭までは日本の電力供給の重要な位置を占めていた。その後、大容量・高効率の石油による火力発電が主流となり、1973年の石油ショック以後は原子力発電も登場し、電力需要が急拡大するなかで水力発電のウエイトは徐々に低下。2005年度は、水力で全発電電力量の約9%となっている(2005年「電源開発の概要」)。しかし、発電水力調査(水力発電に適した場所の全国的な調査)によると、日本の水資源のうち包蔵水力(技術的・経済的に利用可能な水力エネルギー量)は、「既開発(これまでに開発された水力エネルギー)」「工事中」「未開発(今後の開発が有望な水力エネルギー)」の3つに区分され、これらを合計すると1年間あたり1354億kWhの電力量に相当する。これは、原油換算で約3100万klに及び、日本の原油輸入量の約12%に相当する量である。

水力発電そのものは温室効果ガスの排出も少なく、再生可能なエネルギー源である水を利用するため、環境負荷の少ない発電方式だが、ダムを建設する際に膨大な資金が必要なことや、ダム上流の広域な集落を水没させたり、自然の流れを遮断したりすることから、動物や魚などの生態系への影響が問題となっている。アメリカでは数年前からダムの新設が行われておらず、むしろ建設したダムを壊して元に戻す努力が始まっている。日本でも計画途中のダム建設を凍結、見直す動きも出てきている。一方、中国では、経済発展にともなう電力不足を補うため、また、現在主力となっている火力発電から排出する二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガス抑制のために、三峡地区で大規模な水力発電を開発中だ。

このように環境にとってプラス・マイナス両面がある水力発電だが、最近は、中小河川や農業用水を利用して小規模な水力発電を開発し、自然を破壊せずに再生可能資源としての水を利用する「小水力発電」が注目されている。1997年に施行された「新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法(新エネ法)」では、新エネルギーを「石油代替エネルギーを製造、発生、利用すること等のうち、経済性の面での制約から普及が進展しておらず、かつ石油代替エネルギーの促進にとくに寄与するものとして、我が国が積極的に導入送信を図るべき政策的支援対象」としている。国は、小水力発電の可能性を認め、2008年4月に同法を改正し、1000kW以下の水力発電を新エネルギーに追加した。"

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