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「原子力発電」 詳細解説

読み:
げんしりょくはつでん
英名:
Atomic Power

ウランなどの核燃料は、核分裂するときに高温の熱を発生する。原子力発電はこの熱を利用して、原子炉の中でウランなどを核分裂させ、高温・高圧の蒸気をつくり、タービンを回して電気を起こす発電方式だ。核分裂によるエネルギー量は非常に大きく、1gのウラン235の核分裂で、石炭にして約3t、石油にして約2000リットル分に相当するエネルギーを生み出すことができる。わが国はエネルギー資源のほとんどを輸入に頼っており、比較的安定的に資源を確保できてエネルギー量の高いウランによる原子力発電が、エネルギーの安定確保の面からも重要な位置を占めるようになった。

原子力発電は、地球温暖化の原因になる二酸化炭素(CO2)の排出量が中小水力発電地熱発電に次いで少ないため、環境対策の上でも有効であるといわれてきた。半面、発電する際に出る放射性物質が何らかの事故で漏れた場合には、人体や自然環境へ大きな影響を与えることや、放射性物質を含んだ廃棄物の処分が難しいなど課題も多い。わが国では2010年3月までに54基の原子力発電所が建設され、4884.7万kWの商業用原発が運転されていた。総発電電力量に占める原子力発電の割合は29.2%となり、主要国の中でフランスや韓国に次いで高い割合となっていた(資源エネルギー庁「エネルギー白書2010年版」より)。

しかし、2011年3月11日に発生した東日本大震災と、それが引き起こした津波による東京電力の福島第一原発の事故は未曾有の原子力災害となった。政府は震災への対応と同時に事故への対応も行わなければならず、工程表に基づく作業を続けているが事故の収束には時間がかかることが予想される。事故を受けて政府の原子力災害対策本部は同年6月、国際原子力機関(IAEA)へ報告書を提出した。その中で原子力災害への今後の対応として、事故発生後の緊急時対応や環境モニタリングの実施、農産物や飲料水に関する出荷制限、追加的な防護区域の設定などについての方針を示している。

2012年9月には、旧原子力安全・保安院と旧原子力安全委員会の後継組織として、原子力規制を独立して一元的に担う原子力規制委員会が、環境省の外局として設置された。福島第一原発の原子炉は、東日本大震災の被害を受けて4基が2012年4月に廃止され、残る2基も2014年1月に廃止された。このため、2014年4月現在で国内に存在する商業用原発の数は48基となった。2012年5月に全原発が停止した後、福井県にある大飯原発の3号機と4号機が一時運転再開したが、2013年9月に停止して以降は全原発停止の状態が続いている(2014年4月現在)。

一方、2014年4月に政府が閣議決定した第4次エネルギー基本計画は、原発を「エネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源」と位置付けて、原子力規制委員会によって厳しい安全基準に適合すると認められた場合には、再稼働する方針を明示した。

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