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「沈黙の春」 とは

読み:
ちんもくのはる

DDTやBHCをはじめとする有機塩素系殺虫剤や農薬などの化学物質による環境汚染について、科学的な調査・研究をもとに世界で初めて本格的に取り上げた本。米国のレイチェル・カーソン(1907-1964)が執筆し、1962年に雑誌「ニューヨーカー」誌上で連載された。本書は、化学物質による野生生物や自然生態系への影響、人間の体内での濃縮、次世代に与える影響にまで警鐘を鳴らし、連載直後から全米の国民に衝撃を与えた。「沈黙の春」というタイトルには、化学物質を何の規制もなく使い続ければ地球の汚染が進み、春が来ても小鳥は鳴かず、世界は沈黙に包まれるだろうという意味が込められている。

当初、化学業界や農薬協会などから激しい非難や攻撃を受けたが、本書をきっかけに米国政府がDDTを全面禁止するなど化学物質規制を大きく転換させるきっかけとなった。また、環境保護局(EPA)発足にもつながったといわれている。特筆すべきなのは、大学や研究所に所属する研究者ではなく、執筆業のかたわら生物や化学の研究を続けていたカーソンが、独自の観察や調査、考察に基づいて本書を執筆したことだ。本書は30カ国以上で翻訳・出版され、彼女の知性と勇気は現在に至るまで環境や化学に携わるものの道標となっている。

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