水道管の中の水流や、水路のわずかな落差を利用して発電する小規模な水力発電。「マイクロ水力発電」や「小規模水力発電」、「小水力発電」とも呼ばれる。川の上流に小さな取水口をつくって水を取り入れ、ある程度の落差が得られる所まで水路で水を導く水路式(川の水をそのまま利用する流れ込み式と組み合わされる場合が多い)であるため、大型の水力発電と異なり、ダムを使わないことが特色だ。また、二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの削減効果も高い。日本には未利用の水力資源が数万kwあると試算されており、今後の普及に関心が高まっている。たとえば、浄水場では遠くの家に水を送るために必要な水圧をかけて配水しているが、浄水場近くでは圧が高すぎるため減圧する場合がある。そのような、いわば捨てられていた水圧を使って水力発電を行うことができる。
流れ込み式や水路式を基本とする小水力発電は水を貯めることができないため、水量変化により発電量が変動するという弱点があった。しかし、近年、季節による発電量の変動を計算・予測して管理することや、水車発電機を複数設置して、水量の変化に対応した発電ができるようにするなど、技術開発が急速に進んでいる。小水力発電の導入が進む欧州の状況をみると、EUにおける小水力発電の設備容量は1万1644MWにも及び、地域全体の発電システムに欠かせないものになっている。日本でも、電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法(RPS法)で、水路式の1000kw以下の小水力発電が新エネルギーとして位置づけられている。また、2008年に改正された新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法(新エネ法)で、同規模の小水力発電が新エネに加えられた。こうした動向を受けて、国や地方自治体、企業、NGO/NPOなどさまざまな主体が、小水力発電の推進に力を入れている。京都の嵐山小水力発電所はその好例だ。