サイト内
ウェブ

「森林呼吸源」 とは

読み:
しんりんこきゅうげん

 森林は、その成長とともに大気中の二酸化炭素(CO2)を吸収・固定するため、地球温暖化防止の視点からは、CO2の貯蔵庫として重要な役割を果たす。樹木が吸収し蓄積するCO2量は種類によって異なるが、たとえば、適切に管理された80年生のスギ人工林では、CO2換算で、1年間あたり平均で約620t/ha、ブナ主体の天然林では約370t/ha程度を蓄えていると推定されている。自家用乗用車1台から1年間に排出されるCO2量は、80年生のスギ160本が吸収する量と同程度、家庭1世帯から年間排出されるCO2量は、スギ460本の年間吸収量と同程度である。ちなみに、日本が年間に排出しているCO2をすべてスギ人工林で吸収しようとすると、日本の面積の4.4倍のスギ人工林が必要となる。1997年に開催されたCOP3で採択された京都議定書では、国別に温室効果ガス削減目標が定められ、日本は1990年比で6%の削減義務を負った。この日本の6%の削減目標のうち3.8%を森林吸収で担うことが認められ、1990年以降の植林・再植林・森林減少による吸収量を「排出削減」とみなすこととなり、森林吸収源はにわかに注目された。対象となるポイントは、「森林の持つ諸機能を持続的に発揮させるために、1990年以降、人の手を加えていること」であり、具体的には次の3つ。1) 新規植林:過去50年来森林がなかった土地に植林すること、2) 再植林:1990年時点で森林でなかった土地に植林すること、3) 森林経営:持続可能な方法で森林の多様な機能を十分に発揮するための一連の作業(森林の整備、管理、保全などの手入れ)を行うこと。日本では3) の森林経営が主になると考えられるため、政府は、間伐の積極的な推進等による健全な森林の整備、伐採規制などをしている保安林や自然公園の適切な管理・保全、林業就業者の確保・育成、木材利用の推進、森林ボランティアなど国民の幅広い森林づくり活動への参加を進めている。2002年に決定された地球温暖化対策推進大綱では、森林による吸収量として、1300万炭素t(3.9%)の吸収量の確保を目標とし、その目標達成のため、たとえば間伐については2007〜2012年の間に330万haの実施を掲げている。この大綱に基づき、2003〜2012年までの10年間で3.9%の吸収量達成を目指し、地球温暖化防止森林吸収源10カ年対策を展開することになっている。10カ年対策の目標としては、1)健全な森林の整備、2)保安林等の適切な管理・保全等の推進、3)木材及び木質バイオマス利用の推進、4)国民参加の森林づくりの推進、などが掲げられている。

キーワードからさがす

gooIDで新規登録・ログイン

ログインして問題を解くと自然保護ポイントが
たまって環境に貢献できます。