生物多様性と生態系の保全、そしてその持続可能な利用に関して、国連の主唱により地球規模で行われた科学的な総合評価。英語の頭文字をとって「MA」と略され、「ミレニアム生態系評価」ともいう。2001年から2005年にかけて、1) 生物多様性条約、2) 砂漠化対処条約、3) ラムサール条約、4) 移住種条約―の4つの条約事務局を通じて調査が実施され、2005年3月に総合報告書が公表された。
報告書は、生態系が人類に提供する「生態系サービス」を次の4つの機能に分けて解説し、生物多様性を保全することの重要性を再確認している。1) 供給サービス:食料や燃料、木材、繊維、薬品、水などの資源の供給、2) 調整サービス:気候緩和や洪水防止などの環境制御、3) 文化的サービス:社会的基盤や精神的な充足の提供、4) 基盤サービス:前記3サービスの供給を支えるサービス。2010年に愛知県で開催される生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)では、これらの生態系サービスの働きをいかに回復させるかが大きなテーマになる。