階段状の火格子である「ストーカー」の上で、ゴミを移動させながら処理する焼却炉。「ストーカ式」ともいう。炉の下部から燃焼用の空気を送り、炉上部からのふく射熱や燃焼ガスによる接触伝熱によってゴミを燃やす。燃焼がゆるやかで長い時間がかかるが、安定燃焼しやすい。収集したゴミを前処理する必要がなく、大規模な施設の建設が可能だ。このため、日本では1950年代から多くのストーカー式焼却炉が建設され、国内で圧倒的なシェアを占める。乾燥・燃焼・後燃焼の段階に分けられ、火格子の形状や移動方式によりさまざまな種類がある。
燃焼時に生じる不燃物や灰分の多くは、ストーカーの終端から排出される。また、灰分の一部が燃焼ガス中に飛散した「飛灰」は、排ガス処理装置で捕集される。焼却灰の処理方法としては、溶融スラグ化やセメント原料、焼成による土木材料への資源化技術などがある。ただし、導入にあたっては安全性や経済性に関する検証が必要だ。プラントメーカーは、炉の高効率化に関する研究開発を続けている。ただし、ダイオキシン対策のため、溶融炉など次世代型の焼却炉を導入する地方自治体は多い。