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「CSR報告書」 詳細解説

読み:
しーえすあーるほうこくしょ
英名:
Corporate Social Responsibility Report

CSR(Corporate Social Responsibility、日本語訳「企業の社会的責任」)とは、企業は、利潤の追求や株主への配当だけでなく、従業員や取引先、消費者、地域社会など、企業活動に関係を持つあらゆる人々(ステークホルダー)に対して、社会の一員としてふさわしい責任を果たしてくべきであるという考え方だ。企業が、限られたステークホルダーに対してだけではなく、より広い範囲で情報を開示しながらビジネスを行っていくことで社会的な信頼を得て、企業価値の向上につなげていくことが、CSRの根底にある。こうしたCSRの考え方に基づいて企業が行う社会的な取り組みをまとめたものが、CSR報告書だ。

日本では、ISO14001など企業の環境マネジメントシステム(EMS:Environmental Management System)への取り組みが進むにつれ、環境情報開示の手段として、環境報告書の作成と公開が1990年代後半に急速に進んだ。その後、環境報告書の国際的な指標を作成しているNPOのGRI(グローバル・リポーティング・イニシアティブ:Global Reporting Initiative)が、企業活動を環境、社会、経済の3つの側面から評価する「トリプル・ボトムライン」の手法をガイドラインに採用。これを受けて、大手企業を中心に、環境報告書に社会性を盛り込み、より広範な活動分野を公表するCSR報告書を作成する動きが広まった。

GRIガイドラインは世界中で800を超える企業がサステナビリティレポートを作成する際の指針としており、2006年10月には、各企業の本業について、より踏み込んだ考え方や活動についての開示を求める、GRIガイドライン(第3版)が発表された。そこでは、ステークホルダーの声を反映させた経営目標を企業の約束(エンゲージメント)として位置づける「ステークホルダー・エンゲージメント」の考え方を重視し、ステークホルダー・エンゲージメントについての記載を求めている。

CSR報告書には、環境報告書に記載されていた、経営責任者による緒言、環境方針、環境負荷の状況と対策、EMSの進捗状況などに加えて、法令順守(コンプライアンス)や、労働・安全衛生、社会貢献などに関する広範な事項が掲載される。また、客観的な見解かつ専門的な知識を持つ第三者の意見を掲載したり、多様な利害関係者(マルチ・ステークホルダー)を招き、意見を直接聴いて企業活動に生かす「ステークホルダー・ダイアログ」や、ステークホルダー・エンゲージメントの理念を採用したりする企業も増えている。さらに、NGO/NPOの意見を求める企業も多い。

CSR報告書は企業など事業者による活動であり、その記載内容やCSRへの取り組みの内容については企業の自主性にまかせるべきというのが大方の見解である。しかし、企業の環境など社会的活動の重要性から、環境省では検討会を設置し議論を進め、1997年から環境報告書のガイドラインを作成、改訂しており、2007年に「環境報告ガイドライン」として改訂版を発表している。このガイドラインでは、環境報告書の名称について、「事業者が自らの事業活動に伴う環境負荷の状況及び事業活動における環境配慮の取り組み状況を総合的・体系的に取りまとめ、定期的に公表・報告するものを総称して環境報告書として呼ぶ」としている。このため、企業の社会的責任や持続可能性に関する情報を含む場合であっても、「環境報告書」とみなすとしている。このガイドラインの対象となるのは、環境報告書で環境報告を行うすべての事業者だ。また、2005年4月に施行された環境配慮促進法では、特殊法人などに環境報告書の作成、公表が義務づけられたほか、大企業の環境報告書の公表を求めている。

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