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海野和男のデジタル昆虫記

連載「日本昆虫記」22 トックリバチ

連載「日本昆虫記」22 トックリバチ
2010年04月26日

 泥でできた小さな壺が、木の枝や草についているのを見かけることがあります。とっくりのような形の、この壺を作ったのはトックリバチというハチです。 トックリバチは誰に教わったわけでもないのに、生まれつき、壺の作り方を知っているのです。
 トックリバチのお母さんは、巣作りによいなと思う場所を見つけると、まず水たまりなどで水を飲みます。それから地面に降りて、その水をはき出して泥をこねて、巣を作る場所に運ぶのです。何回も何回も、その作業を繰り返し、美しい壺を完成させます。観察した体長1.5cmほどの小さなキボシトックリバチは、約2時間かけて壺を完成させました。
 壺は子育てのための部屋です。壺が完成すると、おしりを壺の中に差し込み;卵を1個産みます。
 それから小さな青虫を捕まえて壺の中に蓄えるのです。何度も何度も狩りに行き、壺の中が青虫でいっぱいになるまでその作業は続きます。その時は数えてみたら13匹も青虫を運び入れました。小さな青虫を見つける能力にはいつも驚かされます。狩りが終わると。最後にまた泥のかたまりを持ってきて、壺の入り口を閉ざし、どこかへ飛び去ってしまうのです。
 トックリバチの成長を観察すると、卵からかえったハチの幼虫は青虫に食らいつき、一匹づつ食べていくことがわかります。ハチの成長はとても速く、10日後には蛹になりました。夏の暑い盛りですから、獲物の青虫が腐ってしまうのではないかという心配は無用です。青虫は死んでいるわけではなく、ハチに刺されて麻酔をかけられているだけなのです。トックリバチにはたくさんの種類があり、日本中で見られますから、巣作りを観察するチャンスもあるかもしれません。

小諸日記は10周年。過去の日記は5年前4月   10年前4月

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