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海野和男のデジタル昆虫記

連載「日本昆虫記」21 アサギマダラ

連載「日本昆虫記」21 アサギマダラ
2010年04月25日

 信州の高原では、7月末から8月にかけて、様々な花が咲き乱れ、チョウたちが花の蜜を求めて飛び交っています。その中で翅を広げると10cm以上もあるひときわ大きい美しいチョウがアサギマダラです。
 アサギマダラが信州で見られるのは6月から9月はじめまでです。ほかの季節にはチョウはもちろん、卵も幼虫も蛹も見られません。成虫は夏には北海道でも見られることがありますが、冬は沖縄など南の暖かな地域でしか見られないのです。アサギマダラは初夏には南から北へ、秋には北から南へと旅をするチョウです。
 6月上旬、標高1000mから1500m付近では、ちょうどイケマというアサギマダラの幼虫が食べるツル性の植物が芽を出し、あっという間に大きくなります。芽生えてから1週間もすれば背よりも高く伸びてしまうものもあります。それを知っているかのようにどこからともなく飛来したアサギマダラは、柔らかな葉に卵を産むのです。
 卵から育った幼虫は7月末にはチョウになり、山の上に集まってきます。8月中旬に、アサギマダラが飛び交う高原には必ずヒヨドリバナが咲いています。アサギマダラはこの花が大好きです。
 蜜を十分に吸い、南へ飛び立つための休養をとると、やがて南へと旅に出ます。 沖縄や台湾まで飛んでいくチョウもいることがわかっています。アサギマダラは暑いのも寒いのも苦手な贅沢なチョウのようです。アサギマダラが多い場所の気温は、たいていどこでも20度ぐらいと過ごしやすい気候です。初夏に北に行くチョウと、秋に南に行くチョウとは世代が違います、どうして南へ行けば冬でも暖かだということがわかるのか、とても不思議です。
写真上はヨツバヒヨドリの咲く高原で、下はイケマに産卵するところ。

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