サイト内
ウェブ

「ブギウギ」脚本家・足立紳、憧れのプロ野球選手と会話し、よもやの教育委員会からの講演依頼にびびる1月

  • 2024年2月29日
  • GetNavi web

「足立 紳 後ろ向きで進む」第46回

 

結婚21年。妻には殴られ罵られ、2人の子どもたちに翻弄され、他人の成功に嫉妬する日々——それでも、夫として父として男として生きていかねばならない!

 

『百円の恋』で日本アカデミー賞最優秀脚本賞、『喜劇 愛妻物語』で東京国際映画祭最優秀脚本賞を受賞。2023年のNHKの連続テレビ小説『ブギウギ』の脚本も担当。いま、監督・脚本家として大注目の足立 紳の哀しくもおかしい日常。

 

【過去の日記はコチラ】

 

 

1月1日(月)

タイで浮かれていると、日本で大きな地震があったことを知る。正月早々に……と思わずにいられない。今日は夕方までホテルでダラダラする日なので、ネットでずーっとそのニュースばかり見ていた。

 

妻と娘はマッサージに行き、息子はプールで仲良くなった中国人の少年とずっと遊んでいた。

 

夜、光のショーを観に行き、その帰りに息子と繁華街を歩き回って、そのまま1時間くらい歩いてホテルまで帰った。息子はすっかりタイを気に入ったようで、帰りたくないと言う。明日、帰らねばならいのだ。ここは日本よりもだんぜん息子にフィットしているだろうし、生きる場所は日本以外にも沢山あるってことを感じてほしくて来たのだが、どうにか生きやすい場所を見つけて逞しく生きていってほしい。もしも息子がこの国に住んだら大好きな海でガイドになればいいと思った(日本でも漁師募集とか検索してしまう)。そしたら私は毎年来る。とにかく息子は海につけておけばずっとご機嫌なのだ。

 

今まで外国に興味がなさそうだった娘まで外国に行きたいと言い出したのはうれしい誤算だった。

 

1月2日(火)

午前中、息子と海。昼、家族で市場に赴き肉と魚を購入し、市場の2階で調理してもらう。おばちゃんに「炒める? 焼く? 蒸す? 煮る? スープ?」と色々調理方法を聞かれ、魚はレモンとライムで炒め蒸しにしてもらい、軍鶏はスープにしてもらった。息子は小銭を握りしめて西瓜ジュースを買っていた。ここの汚くて、安い市場で食べたご飯が一番おいしかった気がする。

 

午後、ホテルに戻り、19時まで息子とプールに入り、送迎タクシーを頼んで空港へ。タクシーに乗った途端、私は爆睡。妻と娘と息子は大声で歌を歌いまくっていた。蒸し暑い空港に到着し、荷物を運んでいたら、タクシーの運転手が追いかけてきた。

 

車内にスマホを置き忘れたらしい。先月買い替えたばかりだったので、助かった。妻がここぞとばかりに私を責め立てる。確かにこの旅行中に3回くらいなくしたから怒り狂うのも分かるが、子どもの前での罵倒はかなりやめてほしい。

 

混みまくった空港のベンチで2時間ほど飛行機を待ち、夜11時の便に乗って飛び立つ。

 

1月3日(水)

香港に4時くらいについて乗り換えで5時間待つ(羽田空港の事故で大幅にダイヤが乱れたようだ)。空港が寒すぎて、ガタガタ震えていていたが(タイが真夏だったので、日本用の上着は全て飛行機に入れてしまったのだ)、娘と息子は縮こまって寝てしまったので、やむを得ず妻と私は着ていた薄い上着を脱いで彼らにかけてやる。

 

あたたかいラーメンを売っていたので食べたかったが、2000円くらいするということで妻が当然却下。この寒さにはたまらなく体に沁みただろうに。結局、私は震えながら西村賢太の『雨滴は続く』を読んだ。朝ドラ執筆でバタバタしていたので積読状態だったのだが、これは凄まじい傑作。2時間にはとてもおさまりきれないので5時間くらいの映画か配信で連続ドラマにすべきだ。

 

15時頃、成田着。空港から池袋までバスに乗る。降車後、バスの網棚? 頭上? に丸々自分のリュックを忘れ、妻が慌ててバスに戻った。色々入っていたので、無事戻ってきてよかったのに、妻はまたキレた。まったく趣味がキレる、特技は怒るだ。

 

※妻より

そこ、ポイントがちげーだろーが!

 

1月4日(木)

早起きして、娘のお弁当。8時半に娘を部活に送り出す。旅行から帰ったばかりで疲れているだろうに部活に行くのはえらい! と思ったら9時半ごろ娘から「部活、明日からだった。今から帰る」と連絡。おっちょこちょい度が私に似ていて気の毒になる。

 

夜、娘と息子と映画。『八つ墓村』(監督:野村芳太郎 ※渥美清版)。なぜか娘が見たいと言い出したのだ。予告編は目に焼き付いているが、実はちゃんと見たことがなかったのだ。が……あの殺戮シーンと小川真由美の尋常でない色気以外はなんだかよく分からなかった。でも、その2つの見せ場はそうとう強力なものだ。

 

1月5日(金)

妻は朝から婦人科へ。身体の調子がおかしくて仕方ないらしい。タイで悪化したとのことだが怒り過ぎるからだと思うが。

 

娘、部活へ。息子、立ち読みへ。私はいつもの喫茶店で仕事。

 

1月7日(日)

朝、チョコザップに行こうと家を出たら2階に住んでいるSさんとばったり出くわした。「Sさんはどうしたの?」と、この日記を読んでいる方からちょくちょく聞かれていた。日記にあまり出てこなくなったからだろう。知らない方のために簡単に説明すると、Sさんは難民申請をしていて、入管に入っていたのだが今は仮放免中だ。

 

Sさんは今も2階に住んでいるが、正直言ってかなり元気がない。飯に誘っても「すみません……」という返事ばかりだ。部屋の電気は夜中の2時を過ぎてもこうこうとついていることが多い。はっきり言えば引き籠りのような状態なのだろうと思う。隣りの部屋からは妻と私のケンカが頻繁に聞こえてくるのも彼のメンタルにはとても良くないのだとうは思うが……。

 

しかし、私も妻もSさんがやって来たころには難民の勉強など積極的にやろうと試みたりしたが、結局日常の忙しさにかまけて何もしていない。おそらく世界中にころがっている大半の問題は、こうして日常の忙しさに負けることで解決されないのだと思う。でも、負けてもいいと思う。と言うと語弊があるが、負けてしまう自分を責めてもしょうがない。

 

数少ない勝っている人たちが、いろんな問題を解決しようと自分の日常の大半を犠牲にして(こういう方々は、犠牲にしているという感覚はなくそれが自分の日常だということだと思うが)頑張っている人たちのおかげで何とか今くらいの状況が保てているのだろう。そういう人たちへの微力すぎる協力だけを忘れないようにしておけばいいのではないか。もちろん微力よりも多くできればそのほうがいいが。

 

1月11日(木)

午前中仕事、午後打合せ。その後、私の監督作品のスチールをやって頂いている内堀義之氏の個展を目黒の画廊へ観に行く。

 

解体工事現場の写真が圧巻。内堀氏はスチールの合間にこんな作品も撮っていたのか。彼の歴史でもある。画廊にいた内堀氏はいつもより少しカッコよく見えた。内堀氏のトークイベントも聞きたかったのだが、そのまま四谷の「あぶさん」へ。

 

『アンダードッグ』でお世話になった芦川誠さんと久しぶりにお会いしたのだが、まさかのビッグサプライズで加藤伸一選手と電話を繋いでいただき、めちゃくちゃ緊張した。なにせ私がもっとも好きな野球選手である。加藤伸一選手について書くとそれだけでこの日記が埋まってしまうが少し書く。

 

有名な話だが加藤伸一(敬称略)は倉吉北高校時代1年生のときと3年生のときに対外試合禁止で甲子園のかかった公式戦はほとんど投げていない。悲劇の高校時代を過ごしたのだが、それでもドラフト1位でプロ入り。これはかなりの出来事だと思う大きなニュースにもなった。私は倉吉北高校のすぐ近くに住んでおり、同校の大ファンだったので加藤のことも応援しまくっていた。加藤の対外試合禁止でなかった2年生の夏の鳥取県大会も観に行っている。

 

そのあたりの加藤や倉吉北高校について書くとものすごく長くなるのでここには書けないが、当時は加藤の控えでもあった石本龍臣投手も広島カープにドラフト5位で入ったから、このときの倉吉北高校が対外試合禁止でなかったら、鳥取県としては初の全国制覇も夢ではなかっただろう。

 

1月13日(土)

娘が「子供映画教室」というのに今日から2か月弱、毎週土日の13回、渋谷に通い始める。中1のとき以来の参加だ。あのときは陸上で足を骨折していて、撮影を一度見に行ったらギプスで固めた足でひょこひょこ歩きながら撮影している姿が妙に面白かった。

 

夕方、池袋で娘と待ち合わせをして買い物に付き合う。どうやら娘はフッションセンスが激ヤバと友人から指摘されたようで、何でもいいから恥ずかしくない程度の服を買いに行くということで、私がついて行ったのだ。

 

必死になって何か選んでいたが、私に聞かれても何でもいいとしか言えない。

 

その後、定食屋に寄って飯を食って帰った。ハンバーグ・エビフライ・クリームコロッケ定食と、生姜焼き・唐揚げ定食を注文。娘は白飯を3回おかわりした。

 

1月15日(月)

朝から家の片付け。11時自宅にて日刊スポーツの取材を受ける。お世話になっているM記者が取材してくださった。2015年に『お盆の弟』(監督:大﨑章)という小さな小さな小さな小さな映画の脚本を書いたのだが、М記者は『お盆の弟』をたいそう気に入ってくださって、そこからずっとM記者が本気で気に入ってくれた映画や小説のときは必ず取材をしてくださる。本当にありがたい。

↑1月28日の紙面でかなり大きく紹介していただけけました。感謝しかないです(by.妻)

 

その後、近所の映画館で『PERFECT DAYS』(監督:ヴィム・ヴェンダース)鑑賞。妻と真っ向から意見がぶつかった。どっちがどうかはここには書かない。

 

1月17日(水)

大好きな『本の雑誌』の、私の本棚コーナーの取材をしていただく。我が家の本棚は、スポーツ、ヤクザ、エロが主体なので慌てて数少ない真面目な本を(毎月送られてくる「月刊シナリオ」とか)本棚に混ぜ込んだが、砂糖に塩を混ぜたようなもんでまったく目立たなかった。

↑「本の雑誌」2024年3月号に掲載して頂きました。『哀愁の彼方に霧が降るのだ』(椎名誠・著)が好きだったので、めちゃくちゃうれしいです(by.妻)

 

夕方、久しぶりに武正晴監督と佐藤現プロデューサーと会う。この日記が公開されるころにはもう情報解禁されているだろうから書いてしまうが10年前に作った『百円の恋』という映画が中国でリメイクされてそれを観させていただいたのだ。去年の10月に中国に行っていたことは書いたが、実は撮影を見にいっていたのだ。原作者の先生扱いをされてえらく良い待遇を受けて、一瞬勘違いしそうになった体験だった。

 

リメイク版は、オリジナル版への愛を感じるものだった。よほど『百円の恋』がお好きなのだろうと感じた。もちろんそれは嬉しいことだ。

 

1月18日(木)

今日は息子が社会科見学なので、妻が2人分の弁当作り。息子リクエストのスパムおにぎりは妻が担当なのだ。チョコレート工場とどこかの博物館に行くようだが、やはり少しばかり不安が強いようだ。

 

行かなくてもいいと言おうかどうか悩んだが、チョコレート工場でお菓子がもらえることになってるからと悩んでいる姿を見て、余計なことを言うのはやめた。結果行った。

 

月に一度、どうしても行きたくない日は休む、嫌な授業(今も音楽だけは出席できない)は出なくてもいいなどと決めてから学校もほとんど行くようになったし、友達ときっちりケンカもしてくる。つまり嫌なことをされたら抵抗する。あと、親のケンカが一番嫌だとはっきり言うようになった。親がケンカをしていると学校に行く気を含め、いろんな気持ちが萎えるらしい。そういうことをちゃんと言える成長ぶりを頼もしく感じる。

 

なので、少なくとも子どもの前で私と妻が言い合いになるのを避けようと何度も妻と話しているが、なかなかそうできない。子どもより大人のほうが未熟な場合は多々あるが、我々夫婦はそれが多すぎるかもしれない。お前のせいでなという妻の声が聞こえてきそうではあるが。

 

※妻より

そうです。あなたのパニックと短気とすぐデカい声を出す特性と、諸々丸投げして、まだ締め切りの余裕あるのに追い立ててくるハラスメントの総合商社のような仕事のやり方、もういい加減、限界です。もう無理。ただ、子どもの前では喧嘩はしたくありません。

 

息子はチョコレート工場がやはり楽しかったようで、意気揚々と帰って来た。

 

夜寝る時も楽し気に話してくれた。その後、妻が小学校の読み聞かせボランティアのため絵本『泣いた赤おに』の読む練習していたら、全く聞いてない素振りで漫画を読んでいた息子がさめざめと泣きだす。こんなにも感受性が敏感なら、学校の先生の圧のある言い方やら、子どもたちの間で空気を読むとか同じことをしなければいけないプレッシャーとか、しんどいだろうな、と思う。

 

先日、NHKスペシャルの不登校の番組を見たが、現在の日本で不登校が30万人に増えている理由は、子どもが悪い訳では全くなく、みんなで同じことを足並みそろえることに重きを置いた公教育が限界にきていること、先生も子どももキャパオーバーに近いこと、などを思い出した。日本の子どもの自殺の人口比率が紛争下なみとの情報もある。子どもがこれだけ苦しんでいるということは、大人でも苦しんでいる人は多いだろうと思う。

 

発達障害は障害ではなく、環境とのミスマッチなだけだという発言もあるが、まさにそれで、娘も息子も環境がマッチすれば、思う存分楽しめるし、力も発揮できるんだろうな……もちろん、私も……などと思いながら、『泣いた、赤おに』を聞きながら眠りに落ちる。

 

夜中、鼾がうるさくて、妻から本やら鉄アレイやら飛んでくるが、寝ている時は不思議となにが当たってもまったく痛くない。

 

1月20日(土)

11時からTBSラジオ『ナイツのちゃきちゃき大放送』の生放送に出るために妻とキネマ旬報のKさんとTBSに向かう。私は昔からナイツが好きなので緊張していたが、ナイツのお2人と出水アナのおかげで、楽しくお話しできて良かった。

 

その後、みぞれが降る中で、妻とKさんと軽く昼飲み。銀座・泰明庵のセリ蕎麦と穴子天丼が美味しかった。(ナイツのラジオで鰻の話をしていて、頭の中は鰻一色だった)。

 

夜、娘と息子と『犬神家の一族』(監督:市川崑)を観る。先日に続き、横溝正史シリーズ。

 

1月21日(日)

朝6時に出発し、『ブギウギ』の終盤の大詰めシーンを見に行った。気楽な見学のつもりだったがそのシーンがかなり良くなりそうで、急遽そのシーンのある話を直すことになった。そういうことがあるほうがきっとドラマは良くなるだろうと思う。

 

1月23日(火)

昨日、学校で嫌なことがあったとのことで、今日は学校を休みたいと息子が言う。なので2人で『窓ぎわのトットちゃん』(監督:八鍬新之介)と『トーク・トゥー・ミー』(監督:ダニー・フィリッポウ/マイケル・フィリッポウ)2本立て。『トットちゃん』は大変楽しんでいたが(私も泣いた)、『トーク・トゥ・ミー』では息子は固く目をつぶって、両手で耳もふさいで、何をしているか分からない時間を過ごしていたが、私はたいそう面白かった。その後、漫画を買って2人で焼き肉食って帰った。

 

1月24日(水)

朝、別府短編映画のオンライン打合せ。まだ脚本はできていないが、5月下旬大分県別府市と豊後大野市で撮影する予定だ。別府は大好きなブルーバード劇場のある町だし、豊後大野市も大好きなサウナで有名な町だ。なによりこの短編企画にずっと参加したいと思っていたので、とてもうれしい。面白い映画を作りたい。

 

夜、19時から恵比寿で「寸劇の館」鑑賞。いやこんなに笑ったのは久しぶりだった。ブルーさんが最高だし、テニスコートさんは存じ上げてなかったのだが、もうただただ面白かった。

 

1月25日(木)

朝から仕事。夕方、長野在住のMが到着。Mは映画学校時代の同級生で、新著『春よ来い、マジで来い』にも蒔田として登場してる人物だ。小説家志望の青年として登場しているが、まだ小説家デビューの夢は諦めていないとのこと。

 

Mはここ数年、様々な事情が重なりはたから見ていて大丈夫かと言いたくなるようなハードボイルドな生活を送っているのだが、今はとある組織に戦いを挑むとのことで、そのハードボイルドさに拍車がかかるかもしれない。なんて、冗談めかして書いているが、健康だけには気をつけて生きていってもらいたいものだ。

 

我々大人が飲んで話している最中、娘と息子が顔を異性にするアプリで遊んでいて、Mや私や妻などを加工して楽しむ。

↑足立を女性にしたアプリ。面白くもなんともない(by.妻)

 

1月26日(金)

今日は娘の高校が推薦入試で休みとのこと。部活もないので『コンクリート・ユートピア』(監督:オム・テファ)を観に行く。娘は私よりもはるかに映画を理解しており、私も高校生の柔軟な頭がほしいと切に思う。

 

その後、私が舞台芸術学院に通っていたころによく食べていたABCという定食屋で昼飯。娘の食べる量がハンパない。オリエンタルライス大盛と、ハンバーグ&ポークジンジャー&若鶏のソテー3種が乗った特盛ABCのご飯大盛りを2人でシェアして食べた。

 

夜、中学時代の同級生が上京していたので東長崎の大好きな店「円蔵」で飲む。

 

1月27日(土)

今日は香川県東かがわ市の教育委員会に呼んでいただき講演をする。私が教育委員会に呼ばれるなど完全に世も末か、もしくは大改革時代の始まりと言っても過言ではないだろう。

 

朝4時半に家を出発。駅まで行って、スマホを忘れたことに気づき慌てて取りに帰る。結果、電車2本遅れる。妻が「飛行機に乗り遅れたら、あんたどーするつもり? 12時までに東かがわにつかなきゃないけないんだよ!」と酷くご立腹。

 

というのも、妻が成田発の安い飛行機を選んだからだ。もろもろ込みでギャランティの提示を受けたので、妻が特性を発揮してしまい、少しでも安くというルートを選ぶからこうなる。

 

ギリギリでスカイライナーの乗り込んで、9時半に高松空港に着き、そのまま東かがわ市の会場へ。

 

※妻より

普通のANAにしたら、12時までに現地入りするのが無理だから早朝便にしたんです。それも、あなたが「前泊嫌だ、当日泊がいい!」とか、主催者の方に神戸からのバスが早いと聞いたのに「バスは苦手!」とこだわった結果ですよね。特性多めなのはあなたの方です。

 

教育委員会の方と、地元のうどん屋さんへ行って昼飯食べながら軽く打ち合わせ。これがまためちゃくちゃ美味しかった。腹ごなしに白鳥神社に行き、『ブギウギ』の撮影で使われた場所で記念撮影。

 

13時から講演会スタート。「子育て」がテーマだ。映画やドラマで偉そうなセリフを書いているからいらぬ誤解を与えてしまうのだが、登場人物ができていることの10分の1も私はやれていないし、登場人物が言うことの1ミリくらいしか実践できていない。なので「自分は何もできないし、苦手なこともしたくない」というようなことだけをダラダラとお話というか、いつものようにトークの相手をしていただきながら話した。

↑東かがわ市の方が作った笠置シヅ子さん人形。ソックリでかわいらしかったです(by.妻)

 

ただ、その何もできないということが思のほか受けて、会場は温かい空気に包まれていたように思えた。なにもできない人=苦手なことが多い人が生きやすい世の中って、きっとできることが多い人も生きやすくなるような気がするのだが、それはできない側の勝手な理屈だろうか。

 

夜は東かがわ市の温浴施設がある宿にチェックイン。妻がまたもケチって近くのビジネスホテルに泊まろうと言っていたのだが(ちげーし。会場からの交通の便が一番よかったからだし。by.妻)、私は大浴場にこだわった。そしてこだわって良かったと思える大浴場と休憩所だった。

 

休憩所はなんだかお祭りのような雰囲気で楽しくなってしまった私は思わず妻と手をつなごうと手をとったらものすごい勢いではじかれて「やめろ、ハラスメント野郎」と言われた。妻とのセックスに同意が必要なのが当たり前のように、手をつなぐにも同意が必要なのは分かるが、手つなぎのハードルもブブカ並みに高いな……。

 

翌朝8時にはチェックアウトしなくてはならないとフロントの方につたえたら、特別に朝食を7時からにしてくれた(宿の朝食は8時からだった)。「朝食込みのお値段ですのでもったいないですもん」などと言われ、東かがわ市の方の優しさにまた触れる。この温かさが妻にほしい。「お前以外にはあるんだよ」と言うだろうけどな。

 

1月28日(日)

朝8時に教育委員会の方がお迎えに来てくれて、空港まで送っていただいた。最後に、Nさんから自宅の庭で取れた柑橘「ブンタン」と「スイートスプリング」を頂き、I先生(元生物の先生)から「ハエトリグサ」とをいただく。大きくなったらアリなどをムシャムシャ食べてくれるそうだ。息子のキャラを話したらきっと好きだろうと持ってきてくださったのだ。うれしい。

 

※妻より

我が家は夏になると、クサい金魚の水槽やカブトムシのケースからコバエやら、小蟻やらが大量発生するので、ハエトリグサ、大変うれしゅうございます。

 

うれしかったので、空港で3000円くらいする高級なオリーブオイルを購入したが、家に帰ったらどこにもなかった。妻の反対を押し切って買ったものだから、心が委縮してしまい空港のどこかに忘れたのだ。

 

※妻より

萎縮しなくてもいつも忘れてばかりでしょうが。

1月29日(月)

今日も娘が推薦入試の採点で学校も部活も休みなので、『カラオケ行こ!』(監督:山下敦弘)を見に行く。面白かった。そのまま娘とランチ。ローストビーフ丼と、ピザと、トマトとモッツァレラチーズをぺろりと食べていた。私は夕方から妻と健康診断の血液検査なので、青汁だけでぐっと我慢だ。

 

娘と別れ、妻とともに高校の同級生アラレさん(あだ名)の夫さんが開業した病院に向かう。まずは紹介状で脳のMRIを撮る。ずっと撮りたかったのでようやくだ。結果は異常なし。安心して、また病院に戻り、今度は血液検査やら心電図やら。

 

病院では同級生のアラレさんともう1人、高校時代の同級生リンリンさん(あだ名)が看護師としても勤務していて、私は2人の女性の同級生からいろいろと検査されてこれは何かのプレイのようで私の好む居心地だった。心電図のときに「おなか、ブヨブヨだが」と鳥取弁で言われたのは最高に気持ちの良い羞恥プレイだった。そのままみんなで飲みに行って楽しかった。

↑久しぶりに鳥取弁を沢山聞いた夜でした。お刺身も酢の物もポテトサラダも美味しかったが、締めのシマアジとハマグリの鍋は最高でした!(by.妻)

 

【妻の1枚】

 

 

【過去の日記はコチラ】

 

【プロフィール】

足立 紳(あだち・しん)

1972年鳥取県生まれ。日本映画学校卒業後、相米慎二監督に師事。助監督、演劇活動を経てシナリオを書き始め、第1回「松田優作賞」受賞作「百円の恋」が2014年映画化される。同作にて、第17回シナリオ作家協会「菊島隆三賞」、第39回日本アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞。ほか脚本担当作品として第38回創作テレビドラマ大賞受賞作品「佐知とマユ」(第4回「市川森一脚本賞」受賞)「嘘八百」「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」「こどもしょくどう」など多数。『14の夜』で映画監督デビューも果たす。監督、原作、脚本を手がける『喜劇 愛妻物語』が東京国際映画祭最優秀脚本賞。現在、最新作『雑魚どもよ、大志を抱け!』は2023年3月24日に公開。著書に『喜劇 愛妻物語』『14の夜』『弱虫日記』などがある。最新刊は『春よ来い、マジで来い』(双葉社・刊)。

あわせて読みたい

キーワードからさがす

gooIDで新規登録・ログイン

ログインして問題を解くと自然保護ポイントが
たまって環境に貢献できます。

掲載情報の著作権は提供元企業等に帰属します。
(C)ONE PUBLISHING