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日本庭園が美しい京都のお屋敷「麓寿庵」で、食べる宝石・華わらび&極上ごはん・鴨粥を♪

  • 2023年7月17日
  • ことりっぷ


「市中の山居」とは、街なかに居ながら深い山のように静かなたたずまいを感じられる場のことで、現代の言葉でいうと「隠れ家」。そんな言葉がぴったりなお屋敷カフェが、京都の町のまんなかにあります。緑あふれる庭園を前に、色とりどりの花びらが舞うわらび餅を、おいしいお茶とともに味わってみませんか。
「麓寿庵」は、京都きってのオフィス界である烏丸エリアに位置します。京都駅からは地下鉄の烏丸御池で下車し、徒歩で約7分。六角通を西へ進むと、やがて木戸に囲まれた間口の広いお屋敷が見えてきます。
もともとこのお屋敷は、明治から大正にかけて活躍した日本画家の今尾景年が1914(大正3)年に建て、晩年を過ごした邸宅でした。希望すると、国の登録有形文化財でもあるこの建築の見どころを、スタッフが案内してくれます。
さりげなく飾られている絵画は、今尾景年の作品。南禅寺法堂の「雲龍図」など勇壮な大作を手掛ける一方で、優美でやさしい花鳥画を得意とした景年。こんな間近で、作品を鑑賞できるなんて感激です。
3つあるお庭の中でも、苔の緑が見事な奥庭。鎌倉時代や平安時代の石灯篭が配されており、自分の求める空間を追求した景年の並々ならぬ熱意が伝わってきます。
また、窓ガラスは、当時のものがそのまま使われているそう。職人が1枚1枚手作りするため、不規則な歪みがあり、ガラス越しにゆらめく風景も非日常感たっぷりです。
盆栽や茶の湯を愛する趣味人でもあった景年の茶室「捉月(そくげつ)」。ここで注目したいのが、床の間の柱にあるコブと、その下の半月形にくり貫かれた壁です。
パリ万博で絵が受賞した褒美として、大正天皇から床柱の木を賜った景年。コブを猿にみたて、水に映った月を取ろうとして溺れた猿の故事「猿猴捉月(えんこうそくげつ)」を、この茶室にメッセージとして織り込みました。
景年が自らの美意識を追求したこの空間で味わいたいのは、絵になる「華わらび」。エディブルフラワーがあしらわれたわらび餅です。甘めの自家製黒蜜と、甘味のないきな粉でいただきます。そして、作家ものの茶器に入れられているのは一保堂のほうじ茶。
色鮮やかな花の美しさはもちろんのこと、わらび餅の透明感にも見とれてしまうほど。ぷるぷる震えるわらび餅を箸で掴み、一口いただくとツルンとした食感。
食べるのが勿体ないほどのこの一皿までが、歴史ある建築にふさわしい、ひとつの作品のようです。
「鴨粥」は、鴨の出汁で炊き上げたお粥をメインに、低温調理された鴨をふんだんに使ったお膳です。メインの鴨料理は、しっとりやわらかな鴨ロースと、ハリがありジューシーな味わいのモモから、好みの方をチョイスできます。
鴨粥には滋賀県産のきぬひかりが使われており、鴨の出汁をたっぷり吸ってうまみがたっぷり。そのままでもおいしいけれど、添えられた抹茶塩、岩塩、藻塩を付けると、それぞれの風味が味をより複雑なものにしてくれます。
鴨料理はメインのほかに、市場には出回らない希少部位を味わえます。日によって何が出るかはお楽しみですが、この日は鴨の肩肉と、せせりの南蛮漬けでした。鴨というと、少しクセがあることも多いのですが、独特の臭みとは無縁。きれいなピンク色、そして噛めば噛むほどジュワっとあふれるうまみ、これが朝・昼・夜いずれの時間も楽しめるなんて最高ですね。
食後は、お庭に出ることもできます。着物さんぽの途中に立ち寄れば、京情緒たっぷりの写真が撮れますよ。庭園や建築を案内してもらって、鴨粥と華わらびを味わえば、ここだけでプチ旅行に来たような気分になれる麓寿庵。時間をたっぷりとって、優雅なひとときを過ごしてみませんか。

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