沼津の茶畑で「八十八夜」収穫始まる 「生育遅れたがきれいな新芽」

  • 2025年5月2日
  • みんなの経済新聞ネットワーク

 沼津地域の茶畑で5月1日、八十八夜を迎え一番茶の収穫が始まった。(沼津経済新聞)

 2代目の宮代雄一さん(右)と3代目の友梨佳さん(関連写真5枚)

 雑節の一つ「八十八夜」は、立春から88日目に当たる日を指す。平年は5月2日だが今年は閏年のため5月1日に。この日に摘んだ茶葉は「上等なもの」とされ、不老長寿の縁起物とされている。

 宮代製茶(沼津市西沢田)では4カ所の茶畑、計約6500平方メートルの茶の刈り取り作業を5日まで行う。自園で育てているのは「やぶきた茶」で、甘みが強く1945(昭和20)年には同県の奨励品種、1953(昭和29)年には農林省登録品種となり日本茶の代表品種とされている。

 2代目の宮代雄一さんは「昨年の10月から今年の2月までほとんど雨が降らなかったことや、寒暖の差が激しかったことが原因で、例年に比べて芽が出るのが遅かった。肥料にこだわっているため、新芽自体はきれいな黄緑色で安心した」と話す。

 雄一さんの孫で3代目の宮代友梨佳さんは数年前、雄一さんが大病を患ったことや高齢化で茶工場を廃業することを検討したことがきっかけで銀行を退職し、事業を継ぐことを決めたという。

 友梨佳さんは「私自身、宮代製茶の茶が何よりも大好きで、祖父がどれだけ愛情を込めて茶作りをしているのか、一番近くで見てきた。この茶が誰かにとっての日常の一部となっているのであれば、その味を簡単になくしてはいけないという思いが強くなった。茶は奥深さが魅力。コーヒーや紅茶は、焙煎(ばいせん)や銘柄など、こだわりを持ったり自分で丁寧にいれようとするのに、お茶はペットボトルでいいと思う人たちが多い。いれ方一つで、同じ商品を飲んでも、温度によって渋くなったり甘くなったりする。知れば知るほど楽しい存在であることを、もっと多くの人に知ってもらいたい」と話す。

 雄一さんは「茶作りは天候に左右されやすいので、毎年同じやり方だとおいしい茶は届けられない。茶葉の様子を見ながら加工していくため、毎年学びがある。茶には一言では言い表せない奥深さがある」とも。

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