秋田県男鹿市で2021年の秋に、旧駅舎を醸造所にリノベーションし創業したクラフトサケ醸造所の〈稲とアガベ〉。無肥料無農薬の自然栽培米を食用米程度にしか精米せず、田んぼから醸造まで無添加でお酒を醸造し、清酒製造参入規制の緩和を目指しています。
クラフトサケとは、日本酒の製造技術をベースとしたお酒、またはそこに副原料を入れることで新しい味わいを目指した新ジャンルのお酒です。現在の日本では、日本酒を造るための免許の新規発行が原則認められていません。そのため新しい醸造所は日本酒を造ることができないのです。
しかし、2020年4月の法律改正により、海外輸出向けという条件付きで、免許が発行されるようになりました。〈稲とアガベ〉はこの新しい免許を活用し、輸出用の日本酒を造り、世界の方々に日本酒の魅力を知っていただくことを目指しています。〈稲とアガベ〉は「日本酒特区の新規創出」「男鹿酒シティ構想」「地域の未来を担う人材の創出」、この3つを目指し「男鹿の風土を醸す」ことを経営理念に活動しています。
〈一風堂〉メニュー監修のもと男鹿市唯一のラーメン店としてオープンした〈おがや〉〈稲とアガベ〉では酒造りを軸に男鹿のまちづくりを行っており、廃棄されてしまう酒粕を使った「発酵マヨ」などをつくる食品加工所〈SANABURI FACTORY〉をオープンしたり、酒蔵に地元の食材を生かしたコース料理とお酒のペアリングを提案するレストランを併設してきました。醸造所がある男鹿の船川地区には、過去にはラーメン店があったものの、すでに廃業してしまっていたため、ラーメン店がありませんでした。そこで2022年ゴールデンウィークの地域イベントでラーメン店を出店したところ1日100食、2日間で合計200食が即完売。地元の方々から「ラーメン屋」をやってほしいという要望が多く寄せられました。これをきっかけにスタートしたのが、ラーメン屋の立ち上げでした。
「ラーメンを通して地域の課題を解決したい」というミッションを持つ〈一風堂〉を運営する力の源ホールディングスから、「ラーメンプロジェクトに協力したい」と声がけがあったことで〈おがや〉が2023年8月に誕生しました。
看板メニューである「男鹿塩ラーメン」は、出汁に高原比内地鶏を使い、男鹿名産のしょっつるを使用し、繊細で旨味たっぷりの味わいを実現しています。これらの素材に合わせて、水は〈稲とアガベ〉のお酒の仕込み水でもある男鹿の名水・滝の頭の水を使用。麺は生麺を使用することで、高いクオリティに仕上げています。
〈おがや〉の看板メニュー「究極の男鹿塩ラーメン」の袋麺プロジェクトそんな〈おがや〉の「男鹿塩ラーメン」を袋麺として販売すべく2023年12月14日からスタートしたのがMakuakeでの応援購入プロジェクトです。袋麺の開発は、力の源カンパニーのグループ企業である長野の〈渡辺製麺〉が協力。〈おがや〉を知っている人も、知らない人も満足できるラーメンに仕上げています。今回のプロジェクトでは、リターンの一部として「おがや袋麺」や、食品加工所〈SANABURI FACRORY〉で販売している動物性食材を一切使わずに製造した酒粕を使った「発酵マヨ」、〈おがや〉オープンにあたり開発したラーメン専用のクラフトサケを提供。
完売するほど人気の看板ラーメンを自宅で気軽に味わえるなんて楽しみですね。
information
おがや
住所:秋田県男鹿市船川港船川字新浜町13
営業時間:11:00〜14:00(スープがなくなり次第終了)
店休日:月・火曜
TEL:なし
Web:〈稲とアガベ〉公式Instagram
Web:〈おがや〉袋麺プロジェクトサイト
writer profile
Riho Nakamori
中森りほ
なかもり・りほ●東京生まれ東京在住のフリーライター/編集者。仕事やプライベートで月に1回以上、地方や海外へ。各地のおいしい食べ物やお酒、素敵なホテルや旅館を発掘するのが趣味。好きな番組は『ブラタモリ』『六角精児の呑み鉄本線・日本旅』。