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農村ホテル〈NOTEL〉オープン準備中。小豆島のトレッキングルートを開拓してみた

  • 2024年4月29日
  • コロカル
農村ホテル、オープン準備中です

2024年春、今わたしたちは、廃校になった小学校を改修して、農村ホテル〈NOTEL(ノーテル)〉としてオープンすべく準備を進めています。建物の工事、webサイトの制作、備品の調達、スタッフの調整などいろいろなことが同時に進行中。2024年7月上旬にはプレオープンというかたちで開きたいと思っています。

満開の桜と工事中のNOTEL。

4月上旬、満開の桜と工事中のNOTEL。

NOTELに宿泊する人に楽しんでもらいたいことのひとつが、トレッキング(山歩き)です。NOTELは山に囲まれた肥土山(ひとやま)という農村にあり、ホテルから徒歩1分で田んぼ、徒歩10分で山の中という立地なので、ぜひこの農村の小道や山の中を歩くことを楽しんでもらいたい。どんなルートを楽しむことができるのか、実際に自分たちで歩いておすすめルートをつくろう! というわけで、さっそく春のある1日に「NOTEL出発トレッキングルート開拓!」の第1弾をしてきました。

人と校舎

宿泊者の気持ちで、NOTELから出発!

農業用のため池

今回のトレッキングの目的地は「蛙子池(かえるごいけ)」。蛙子池は農業用のため池で、私たちの畑にもこの蛙小池の水が流れてきています。

その日はちょうど桜が見頃の日だったので、「蛙子池の桜を見に行こう!」をテーマにルートを設定しました。

蛙子池は、私たちが暮らす集落の北東の山の上にある農業用のため池です。さかのぼること今から約350年前の江戸時代、この地域の水不足を解消するために、肥土山村の庄屋であった太田伊左衛門典徳さんが、農業用のため池の工事を始めました。

こんな山の上に大きな穴を掘って水を貯めて、それが山の下の集落まで流れてくるように水路をつくる、それも人力で! そりゃ、工事は難航しますよ。ようやくようやく完成し、待望の池水が肥土山まで流れてきたことを喜んで、ここで暮らす人たちがお祝いの芝居をしたのが、今も続く伝統行事である「肥土山農村歌舞伎」の始まりといわれています。

蛙子池まで歩いて行くのは今回が初めて。NOTELに宿泊する人と同じ気持ちで、ワクワクしながら、いざ蛙子池へ出発!

「典徳翁墓地」の案内表示。

NOTELから出発してすぐにある「典徳翁墓地」の案内表示。目的地である蛙子池をつくった太田典徳さんのお墓が肥土山の集落の中にあります。

桃の花が満開。その手前を人が歩く。

この日は桃の花が満開。季節の花を楽しめるのもトレッキングの魅力。

400メートルの標高差を登ると……

NOTELから歩いて10分もすると山の中に入っていきます。行き道は基本的に登り。NOTELから蛙子池まで約400メートルの標高差を登っていきます。

坂の上から集落を見る。

歩いて10分もすると、集落のだいぶ上のほうに。このあたりから山に入っていきます。

肥土山集落全体を見渡せるスポット。

肥土山集落全体を見渡せるスポット。この日は黄砂がひどくてよく見えませんでしたが、普段は瀬戸内海も見えます。

ちょっと歩いただけで標高が100メートルくらいあがって、振り返ると出発地や集落を見下ろせるのはおもしろい。あー、今自分が滞在しているのはこんなところなんだ、あっちには海があるんだなって俯瞰できます。

木々が生い茂る。

小豆島にはこういう山の中の道がいくつかある。トレッキングルートとしてちゃんと整備されているわけではないので、木が倒れたり、石が崩れてきたりして荒れていることも。

高さ21メートルある小豆島最大の「銚子の滝」。

高さ21メートルある小豆島最大の「銚子の滝」。そんなに大規模な滝ではないですが、観光地化されてないそのままの姿がいい。

途中から、車が通れない山道に入っていきます。ぐっとトレッキング感が増しますね。

山道を歩く途中で「銚子の滝」に立ち寄りひと休み。この春は雨が多かったので、水の量が多く、流れ落ちる水に迫力がありました。

石の断面。

石の美しさに魅了される。

赤紫色のツツジの花を。

春の山は、赤紫色のツツジの花を楽しめます。

見渡す景色、山の中にある石や植物、木漏れ日、匂い、風。トレッキング中に楽しめることって本当にたくさんあります。余計なことはあまり考えずに、ただただ山の中を歩き、感じる時間。

目的地の蛙子池には2時間ほどで到着。桜がちょうど満開で、地元の人たちもお花見しにきていました。

用意してきたコーヒーを淹れてひと休み。山歩きの楽しみのひとつが、この外で味わうコーヒーだったり、おにぎりだったりします。

NOTEL宿泊者の方々にもこういう時間を楽しんでもらえるように、コップやコーヒードリッパー、お弁当箱などをピクニックセットとして提供できたらいいなぁと思っています。

蛙子池と人。

NOTELから歩いて2時間ほどで蛙子池に到着! 4キロほどをあちこち寄り道しながら。

桜の木の下でお茶休憩。

桜の木の下でお茶休憩。気持ちがいい〜。

約4時間半のトレッキングルートができました

さて、帰りますか。行きと同じルートだとちょっとおもしろくないので、違うルートで。小豆島には「小豆島霊場八十八ヶ所」をまわる遍路道があって、山の中を歩くところもあるのですが、その遍路道を歩いてみることに。

山の中の遍路道にある案内板。

山の中の遍路道には、道沿いの木などに案内板がついていたりして、意外と迷わずに行けます。

遍路道を歩く人。

歩く人がいないと遍路道はどんどん荒れていってしまうので、歩く人がたくさんいたほうがいい。

約4時間半のトレッキングを終えて、集落に戻ってきました。心地よい疲れとともに。

朝からトレッキングして、NOTELに帰ってきて部屋でひと休みして、共有キッチンでゆっくりビールでも飲みながら夜ごはんをつくって食べる。それって、私たちの生活そのものだったりします。

この土地で暮らしているからこそわかる、この土地の楽しみ方を訪れる人たちに伝えていけたらいいなと思っています。それはお膳立てされすぎたパッケージツアーじゃなくて、自分で考える、行動する余地が残っているちょうどいい具合の情報と道具のセット。

実際にこのトレッキングを楽しむ人たちが、肥土山の風景のなかにいる日がとても待ち遠しいです。

畦道と人。

約4時間半のトレッキングを終えて、NOTELに帰ってきたのは14時頃。部屋でシャワーを浴びてビール飲みたい。

今回のトレッキングルート「NOTEL出発 銚子の滝〜蛙子池〜栂尾山コース」です。

information

NOTEL 

Web:Instagram

writer profile

Hikari Mimura

三村ひかり

みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島のなかでもコアな場所、地元の結束力が強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HOMEMAKERS」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、築120年の農村民家(自宅)を改装したカフェを週2日営業中。https://homemakers.jp/

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