例年だと年末は恒例の「今年使ったカメラたち」という連載をしているが、今年導入したのはOM1 MK IIだけなので、今回は今年導入した高速度カメラの話をすることにする。
今年春に4KのハイスピードカメラChronos 4Kが出たので、欲しかったが、200万以上するので諦めた。昔なら即購入といったところだが、今は余裕がない。
高速度カメラを使い始めて、30年近くになる。25年ほど前にはレンタルでSD画質で秒500コマの動画が撮れるNACの製品をレンタルで借りていた(左)。レンタル料は1日5万円ほどかかったという恐ろしい話。
2011年12月に初めて自前の高速度カメラを購入した(右上)。当時、随分小型になったものだと感心した。価格は一式で250万ぐらいだったから、今のChronos 4Kより高かった。
このカメラはE3iという機種だった。720Pで、秒700コマで4秒ほど撮ることができ、1インチセンサーでホワイトバランスを毎回とる必要があったが、画質は満足していた。しかしモニターが別なので、セッティングに時間がかかる。小さい割に持ち運びに不便などの難点もあった。
その後、2015年にはソニーなどからRXやRMというコンデジで高速度動画が撮れるようになり、手軽なのでE3iを使わなくなり、結局3年間しか使わなかった。それは実は大変もったいないことで、今見ると、E3iはグローバルシャッターなので歪みがなく、比べ物にならないぐらい画質が良い。
5年ほど前からはソニーのAX700という秒960コマで撮れるビデオカメラを使っていた。しかし、グローバルシャッターでないので、やはり小型の昆虫の飛翔の撮影には向いていない。
2022年にパナソニックから秒300コマ撮れるGH6というカメラが発売され、画質が高速度カメラやビデオカメラとは比較にならないので、今年の夏までよく使った。AIが進化して、駒を補完することで、蝶の場合は秒1000コマの動画の制作はリアルで撮ったものとほとんど変わらない画質になったのはありがたかった。しかしグローバルシャッターでないのでハチなどは翅が歪むし、そもそも羽ばたきの速い小昆虫の撮影は不可能に近かった。
そこで、今年は、随分前から欲しいと思っていたChronos 2.1-HDを購入した(右下)。3年半も前に出た機種で、価格は当時50万ほどだったが、円安と値上げで、今は100万弱する。中古は滅多に出ないが、運良く50万弱で購入できた。これは一体型の高速度カメラで、FHDで1000コマ、720Pで2100コマで撮ることができる。レンズはE3iの時と同じニコンのDX用の10.5mmをメインにした。
このカメラの問題は感度が低いことで、ピーカンでない限り、秒2100コマでは(つまり1/2100のシャッター速度)ではゲインアップしないと撮れないことだ。またいちいちBlack balanceを撮らないと、縦縞が出てしまうという大きな難点もある。センサーがマイクロフォーサーズなのでE3iより深度が浅いことなど、思ったほどの動画は撮れなかった。E3iは720Pで、秒700コマだったが、2000コマではSD画質以下だったことを除けば、1500コマぐらいは、今のAI技術で、ほぼ問題なく使えるので、使わなくなったのは、本当にもったいなかったと思う、再度使ってみようと思ったが、センサーにカビが生えていて、それを除去しようと分解した、どこかが断線したようで、動かなくなってしまった。コマ数による昆虫の翅の動き違いを解説した動画をアップしました
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