昨日は埼玉県嵐山町で行われたチョウ類保全シンポジウムで講演。
昆虫特に、チョウは愛好家が採集することで様々なことがわかってきました。しかし、科学的なバックボーンとして標本はとても重要なものですが、産地が限定される種は、採集するに任せていたらいずれはいなくなってしまいます。採集しなくても環境が変われば、それ以上の打撃を受けます。いったいどうしたらこれらの生物と共存できるかを、環境整備も含めて考えていくことはとても重要なことです。
自分たちの力で地元に生息している素晴らしいチョウを次世代にまで伝えていくことは、地元の誇りになることと思います。特定のチョウだけを守れと言うのではなく、彼らの生息地を守りつつ、私たちが住みやすい環境とはいったい何であるかを探っていかねばならないのではないでしょうか。
例えばギフチョウは、ぼくが子供の頃から学生時代にかけて、突然ある地域では増えたり、開発で激減したりしました。実は今、考えると一時的にある地域で増えた理由は広葉樹を伐採し、杉を植えたためだと思います。一時的に日当たりのよい疎林のような環境ができたからです。ところがそういった地域は10年ほどで、暗い林になり全くギフチョウの住めない場所になってしまったのです。
今、いるからよいと言うのでは手遅れなのです。環境整備の重要性はこのあたりにあります。人里近くに住むチョウは、人の生活に大きな影響を受け、その生死すらも人間活動に牛耳られているのです。環境問題をこのような身近なところから考えていくことが今一番重要なことなのではと思います。
写真はシンポジウムの会場の植え込みにとまっていたアケビコノハ。上が朝で、下が夜。この後飛んでいったが、明かりがあるのでまた舞い戻り、同じような場所にとまってしまった。
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