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海野和男のデジタル昆虫記

自然写真家の使命(サステイナビリティとサバイバビリティ)

自然写真家の使命(サステイナビリティとサバイバビリティ)
2009年01月02日



 今年は62歳になるのだが、世の中の価値観の変化についていけないなと思うことが時々ある。これはいたしかたないのかなと思う。
 ぼくの学生時代は世代間闘争の時代だった。最近、また、世代間の認識の違いがよく話題となる。不安定な時代だからこそであろう。世代間の違いというのを感じるのは人間の生活が他の生物と比べ、あまりにも短期間に変化するからかもしれない。皆がある程度満ち足りた生活をしているときは世代間闘争はあまり話題にはならないのだろう。
 昨年の金融危機は、様々な問題を露呈したと思う。何しろ日本の景気がそこそこだと思っていた人が大方だったのに、あっという間に不況風が吹いている。
 この頃は「サステイナビリティ」(持続可能な)と言うのに変わって、「サバイバビリティ」(生き延びる力)というのが話題になるそうだ。生物は当然持続可能生活をしているわけで、それには多かれ少なかれ生存競争が関与している。そして環境が変わった時に、滅びたり新たに繁栄したりと言うことを繰り返してきたわけだ。
 生き物の世界ではサステイナビリティもサバイバビリティもある意味当たり前のことだ。そうでなければ生きてはいけない。
 持続可能というと、希望がありそうで、生き延びるというと厳しそうに聞こえるが、それは単に言葉の綾のように思う。
 何はともあれ、ぼくたちのような、ある意味、自分の好きなことに生きてきた人間は、それを貫き通すことしかできない。そうすることが世の中にもしかしたら、希望の小さな火を灯すことになればよいのだが。写真を通して、自然のことを伝え、考えていくことこそ、自然写真家の使命だと思うのである。
写真はクロナガアリ。植物の種を運ぶ、冬に活動するアリだ。E-30 sigma105macro+EC20


「海野和男 幻の巨大スズメガの謎に迫る〜マダガスカル島」NHK BShi
本放送 2月16日(月)夜8時から
再放送 2月24日(火)午後2時から

写真展「蝶の道」1月5日より20日まで銀座ニコンサロン、2月5日より11日まで大阪ニコンサロン。1月9日、2月5日は午後7時より写真展会場でフォトセミナー(入場無料)も開催。また同名の写真集を東京農工大学出版会より、写真展にあわせて出版。A4136ページ上製、定価は3600円(税別)の予定

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