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海野和男のデジタル昆虫記

昆虫カメラマンの使うカメラ2

昆虫カメラマンの使うカメラ2
2007年09月16日

 ぼく以外の昆虫カメラマンはどんなカメラを使っているのだろうか。
 ぼくの知り合いの大変優れた昆虫カメラマンはE-500とEOS5Dを使っている。小さな昆虫のアップはほとんどがE-500に35mmマクロとテレコンの組み合わせで撮影されている。ストロボは内蔵ストロボをメインに、他メーカーの小型ストロボをスレーブで使われている。5Dはどのように使われているかはしらないけれど、たぶんより細かな描写が必要だったりする場合に使われるのではと思う。
 もう一人の古くからの友人で沖縄の昆虫、動植物にかけては日本一の昆虫カメラマンは、ニコンのD200がメイン。D2Xもお持ちだが出番がないという。昆虫だけでなく鳥や動物も撮られるが、望遠もニコンは良いのだと思う。そして彼が最近、最も好むのは、実はリコーのカプリオシリーズである。ビデオも撮影されるので、そんな時は一眼レフよりコンパクトが良いそうだ。カプリオのシリーズは、ぼくが数年前に使いはじめてから昆虫写真を撮る現場でずいぶんはやり、プロもアマチュアも昆虫を撮るコンパクトならカプリオということになっているようだ。
 もうひと方、注目の昆虫カメラマンがいる。元々は昆虫カメラマンではなく、他の分野で賞などもとられている変わり種。彼はオリンパスのE-シリーズに自分で改造されたマクロレンズを使われている。でもメインはどうやらリコーのカプリオシリーズに純正でないワイドコンバーターの組み合わせのようだ。改造と工夫という点では昔の昆虫カメラマンに近いのかなと思う。ぼくは今では、中々そこまで手が回らない。
 本も出しているあるセミプロ昆虫カメラマンはニコンのD70がメイン。その方はD200も持っているのにD70を使うのだ。それはD70がCCDシャッター併用なので、公称1/500、実際はもっと速いシャッター速度にもストロボが連動するからだ。
 あるプロカメラマンで本業は昆虫ではないのだけれど、チョウの広角写真を得意とされる方がいる。この方はオリンパスのEシリーズがメインで、ペンタックスも使われていると思う。Eシリーズの8mm魚眼とペンタックスの魚眼ズームがお気に入りだと思う。
 あるトンボの得意な昆虫カメラマンは完全ニコン派。PCニッコールまで使われるからすごい。カメラはD200が中心と思う。
 国外在住の素晴らしい写真を撮られるあるアマチュアのカメラマンは、EOS30Dに虫の眼レンズが基本的な装備だ。その写真がいい。プロの昆虫カメラマンには虫の眼レンズを多用する人はいない。これは多分プロの意地みたいなものかもしれない。先輩カメラマンの栗林さんが長い間、独占的に虫の眼レンズを使っていたからだと思う。
 ある大会社の社長で、チョウの写真ではぼくの弟子、素晴らしい写真を撮るアマチュアのチョウ写真家は。キヤノンの銀塩カメラ。RSに魚眼とストロボで連写して飛翔写真をものにする。もっとも手ぶれ補正の技術も彼の会社に負うところが多いそうだ。
 さてプロにオリンパスとニコン派が多いのはどうしてだろうか。ニコンがメインは40%、キヤノンがメインは20%ぐらいかな。キヤノンは一般のシェアーはニコンと抜きつ抜かれつの熾烈な戦いをしているのに、昆虫写真界ではなぜか人気がない。オリンパスのシェアーは一般では10%に満たないのに。昆虫写真界では40%以上にもなるのではと思う。コンパクトはリコーが80%ぐらい行くのではと思う。
 オリンパス人気は小型の昆虫をシャープに撮るために小型の撮像素子が便利だからだ。それともう一つ安価なカメラでも、内蔵ストロボがマニュアルで使えるからだ。ストロボが必須な昆虫撮影では、ちょっと工夫した撮影を試みるにはマニュアルで使えることがとても重要なことなのだ。
 ニコンもD80などは、内蔵ストロボをマニュアルで使うことができる。ニコンやオリンパスを使っているとそれが当たり前なので、他社のカメラを使って唖然とすることがある。例えば購入したキスデジもαも内蔵ストロボのマニュアル設定は発見できなかった。
 そんなわけでニコンとオリンパス派が多いのだと思う。キヤノンのアドバンテージはMP65という高倍率のマクロがあることだ。数少ないキヤノン派はこのレンズがあるからEOSという人がほとんどだろう。けれどそれは等倍以上を撮る特殊レンズである。ぼくも使っていたが、最近ではテレコンと単焦点マクロの組み合わせで、だいたいのものは撮れる。安く上げたいと思えば、改造ズームマクロでも良い。けれどチョウの卵などを手軽に撮るにはMP65は良いと思う。けれどこれになれると工夫が無くなるのが恐いと思う。まあ、工夫することに喜びを感じなく、ちゃんと撮れればよいのだという向きにはこれでよいのだが。昆虫カメラマンはあまのじゃくが多いのだ。
 ニコンは105mmのマイクロニッコールが手ぶれ補正付きで出たから、この組み合わせで使っているアマチュアの方も多いと思うが、プロではどうしたことか新型105マイクロはあまり普及していない。これは多分大きすぎるからかなと思う。けれど、ぼくはニコンを使うならこのレンズとマクロストロボはどのメーカーにも負けないシステムだから、使わない手はないと思っている。
 それにしてもプロ機と銘打つ機種が人気がないのは大きすぎるというよりカメラの高さが高すぎるからだろう。地面すれすれで撮影するには不便なのだ。そして内蔵ストロボはどうしてプロ機にはないのかも疑問である。格好で買うわけではないので、やはり内蔵ストロボは無いよりあった方がずっと便利だと思う。
 写真は夕暮れのノシメトンボ105マイクロ。ただしD80発売以前の撮影でカメラはD2X。
 
◎ビデオの海野和男の昆虫教室第49回「蝶の道」

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