麓で教会のお坊さんに呼び止められ、「何を持っているのだい。」と訪ねられた。ファーブルは得意になって「巣には卵が6個ありました。私は一つ取りましたこれがそれです。雛がかえったら残りを取りに行くつもりです。」とファーブルは答えた。
「ノビタキの卵だね。そんなことをしてはいけないね。母鳥から雛を取り上げるなんて。小鳥は野の喜びだからね。それに地面の害虫を退治してくれるのだよ。二度と巣に手を付けてはいけないよ。」
多分ほめられると思ったのに説教されたファーブルはそれでも二つのことを学んだという。母親を悲しませることはいけないことだ。ということ。それと、その小鳥にノビタキ(saxicola)という名前があるということだ。「誰が名を付けたのだろう。遊び友達の生き物にもみんな名前があるのだろうか」とファーブルは考えた。そしてまもなくラテン語が読めるようになったときsaxicolaとは「岩の住人」という意味があることを知った。こんなふうにしてファーブルは生き物に対する語彙を増やしていったのだ。
◎フランス取材中のため小諸日記の更新が滞るかと思います、そこでファーブルの生まれ故郷や虫たちを前もって準備した原稿で更新することにします。写真はほとんどが20年近く前の取材時のものです。現地からのその日のレポートも時々はいるのではと思いますのでご期待ください。
◎「昆虫擬態の観察日記」、「さがそう! ちがう虫」、「さがそう! かくれる虫」、「さがそう! まねする虫」発売中。
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