
ZOCを卒業した藍染カレンが1stフォトエッセイを発売
ZOC結成時からのオリジナルメンバーとして6年活躍した藍染カレンさんが昨年11月4日にグループから卒業。卒業メモリアル的なフォトエッセイ「藍臓(あいぞう)」が2025年1月31日(金)に発売される。ZOC結成秘話、メンバーの加入脱退、グループの炎上、武道館ライブ、グループ改名ほか、これまでZOCのことについて語ってこなかった彼女が初めてすべてを本書にて語っている。また大森靖子さんとの対談ページも掲載、80枚超の撮り下ろし写真も見逃せない内容となっている。そんな彼女に今の心境やフォトエッセイに込めた想いなどを聞いた。
【写真】1stフォトエッセイを発売するZOCを卒業した藍染カレンが今の心境を語る
■「卒業するZOCの藍染カレンをやっぱメインに据えたくて作っていただいた本」
――舞台「悪ノ娘」出演時のインタビュー以来ですからちょうど1年になります。まさかZOCを卒業するとは思いませんでした。卒業後、元気に過ごされてますか。
超元気です!卒業発表してから卒業に向けて本当に休みなくずっと10本のイベントを実施したり、その間舞台2本が決まったりとか、去年は舞台が6本、卒業、本の制作など、すごいことをいっぱいやった1年で本当に生きてきた中で一番忙しかったです(笑)。
ものすごいたくさんの方に迷惑をかけましたが、いろいろ駆けずり回ってきたんで、1月は働かないって思って。本当に働かないと思ったらもう携帯を触らなくなって、ますます連絡を返さないようになっちゃいました。3月にまた舞台があるんですけど、稽古初めが2月なんで、ゆっくりと役づくりができて幸せです。
卒業を決めてから、ハッピー卒業モードが続いてました。(大森)靖子ちゃんとも二人でめちゃめちゃ楽しい卒業モードを作っていて、ファンの人を置いていかないようにしなきゃねって言ってました。「楽しい卒業にするぜ!」ってなってましたね。
ZOCとしての最後の特典会があったんですけど、ファンの人たち、泣きつくしていてほぼ泣いてなくて「おつかれ、いいライブだったよ」って感じでみんな明るく帰っていって、すべて出しつくせたのかなって思いました。
「去年は舞台が6本、卒業、本の制作など、すごいことをいっぱいやった1年で本当に生きてきた中で一番忙しかったです(笑)」
――とは言え、ZOCの藍染カレンさんを好きなファンは寂しく感じているでしょうね。昨年11月4日の卒業ライブでは涙を流されたんですか。
かっこよく卒業したかったので、泣きたくなかったけどちょっと泣いちゃいました。ちょっと泣いちゃったのも撮られていて。
(編集担当)「しっかりと撮らせていただきました!フォトエッセイにも載っています」。
卒業ライブは二部あって、一部で事務所の子たちとZOCとして最後の「TOKYOPINKFES」というライブ、二部でソロライブをやらせてもらったんですけど、一部でべっしゃべっしゃ泣いて、二部ではもう泣かんわって思っていたんですけど、ちょっと泣いてしまいました。
――自然に涙が込み上げてきたんですね。
そんな恥ずかしいこと言わないでください!(笑)
私の卒業でZOCの第1章が終わったっていうふうに靖子ちゃんも言ってくださってて、そう思ってもらえたならちょっと光栄だなって思います。
――卒業メモリアル的なフォトエッセイだと思いますが、どんな内容にしたいと思っていましたか。
自分の本を出すのが初めてだし、やっぱり自分のビジュアルを好きって言ってくれるファンの方が多くいるので、写真がいっぱい入ってるのがいいなっていう思いはありました。ZOCの活動をしてきた中で、これまであんまり発言をしてこなかったというか、あんまり説明をしないというか、そういうスタンスでやってきた部分があったんで、どうせなら思ってることをいっぱい喋ってる本が作りたいなと思って、フォトエッセイという形で作ってもらいました。
「卒業を決めてから、ハッピー卒業モードが続いてました」
――ZOCのことを初めて語っているわけですね。
今日初めて完成した本を私も手に取ったんですけど恥ずかしくって。ZOCの私をずっと撮影してきてくれたカメラマンのMasayoさんと編集担当の片柳さんがメインとなって作った本なんですけど、いざ出来上がったものを見た時にもうなんかパーソナルすぎて恥ずかしいって思いました。これまでこんなには言ったことないと思うのでやっぱ恥ずかしくなります。
ずっと作ってきたので内容をわかっていたはずなのに、改めて完成した本を読んでみると、靖子ちゃんとの対談から始まっているので、藍染カレンの本を読もうと思っているのに、大森靖子の大きな文字が最初に出てくるみたいな(笑)。
卒業したZOCの藍染カレンをやっぱメインに据えたくて作っていただいた本ではあるので、卒業記念みたいな感じで考えると、大森靖子って人は私の人生の中でもすごく特別な存在だし、他に私の人生の中で靖子ちゃんみたいな人はいないので、ドンと最初にいてもらうとなんか安心感があって第1章に合うなって思います。
いきなりZOCらしいキメキメの2ショットからいかせていただいております(笑)。「ZOCです」というポーズでいつも通りの撮影をさせていただきました。私の卒業ライブの次の日に撮影したので、2人ともバキバキにZOCをやり切った状態での撮影でした。この日のビジュアルがめちゃめちゃよくて、やりきった人の顔をちゃんと撮ってもらえたなっていう感じがします。
撮影場所も「family name」のMVを撮った場所に2人で行って、「family name」のMVっぽい構図で撮ったりしました。MV撮影時には咲いていなかった花とか、撮影時にあった草とか、こんなのあったねって懐かしみながら撮らせてもらいました。ZOCは「family name」から始まったので、始まりの場所に行きたかったっていう想いがあります。
「かっこよく卒業したかったので、泣きたくなかったけどちょっと泣いちゃいました」
――フォトエッセイを作るうえでこだわったことはありましたか。
藍染カレンをやっていく中で、いろんな姿を見てほしいなっていうのがありました。舞台などをやらせてもらってるのもいろんな姿になる面白さみたいなところがあるし、それをZOCをやりながらもやってきたなと思ってて、そういうところも見てほしかったので、とにかく変化をつけたいと思いました。スタイリングもそうですし、髪が赤いのもあるし、赤くないのもあるし、そういう私のいろんな姿を本を通して楽しんでもらえたらなっていうふうに、けっこうこだわりました。COOL、CUTE、POPというちょっとイメージの違う三つのスタイリングをしてもらったりとか、どんどん私から提案して作らせてもらった感じです。
自分じゃ選ばないスタイリングだったりも、スタイリストさんをつけてもらってやってもらったりとか、これまで選んだことのない色などを進んで選んでみたりとか。これまで赤くなることにこだわりをずっと持ってきたんですけど、ベージュやピンクなど、自分で触らない色だったりしたので新鮮で楽しかったです。本を見てみて似合ってるなと(笑)。
あとは私物ページとか、好きなものの話とか、生まれたころのこととか、藍染カレンになる前の話とかも盛り込んでもらったなって思ってるので、私のことを好きでいてくれる人が私のことをもっと知って楽しんでもらえる本になったらいいなっていうのもあります。
「私の卒業でZOCの第1章が終わったっていうふうに靖子ちゃんも言ってくださってて、ちょっと光栄だなって思います」
■「藍染の藍は大事にしている漢字なんでタイトルに入れたかった」
――制作してみて楽しかったですか。
すごい楽しかったです!これまで自分の話、特にZOCのことに関してはまったく話をしてこなかったので、自分のパーソナルなことって、今までYouTubeだったりではちょいちょいはしてきたんですけど、いろいろなことが起こる中でZOCのことを私がどう思ってたかみたいなことってまじで本当に話してこなかったので、この本ではけっこうセンセーショナルに話してるな、大丈夫かなって思いながら、でもせっかく本っていう形で出させてもらうんだから、一対一のコミュニケーションだと思って。私に興味を持って手に取ってくれる人にだったら話したいなっていう、ある種の信頼みたいなものを、この本に託しました。
なので、メンバーの名前とかもガンガン出してたりするんですけど、あくまで全部私の主観なので誰も怒らないでくださいって、冒頭にも“私の主観です”って書いてあります。それぞれの中にそれぞれのZOCがあって、どれも間違いではないと想うので、私の中のZOCの話をしています。
「やっぱ自分のビジュアルを好きって言ってくれるファンの方が多くいるので、写真がいっぱい入ってるのがいいなって」
――6年間のZOCの活動を振り返りながらの制作はどうでしたか。
ZOCでの6年間は、本当にがむしゃらにやってたので、けっこう記憶がおぼろげなところも多くて疲弊しました。卒業するってなったときに、この本の制作の作業に向けた3カ月の中で、これまでのZOCのことを思い返す時間ってすごい多くって、ZOCでの全部の時間をちゃんと好きだなって思える、ある意味必要だった作業をしてきてたので、あとは自分の身にあったことを話すのみっていう状態になれてました。
――タイトル「藍臓(あいぞう)」に込められた意味を教えてください。
「藍臓(あいぞう)」っていうタイトルをつけさせてもらったんですけど、“あいぞう”って言葉そのものは、愛しさと憎しみの愛憎っていう意味と、私の名前の藍染の藍と臓物の臓という文字数の多い難しい字をあてさせてもらいました。
「紅のクオリア」という私のソロ曲があって、その2番に「覚えておかれよ あたためた愛憎」という歌詞があるんですけど、“この場所そのもの”への気持ちに寄り添うようになっていて、ZOCに対する私の必要なエネルギーって愛憎にけっこう近いなと思って、それはマイナスの意味ではなくて、いろんなことを全部抱えたままここに立ち続けたいっていう気持ちが歌詞の一文で表現されていて、私のZOCとして過ごす日々の中にどんどん溶けていったものだったなっていうふうに感じていたので、“あいぞう”っていうワードを使いたかったんです。
藍染の藍は大事にしている漢字なんで入れたかったし、こういうカチカチの堅苦しい字画の漢字のタイトルの方が私っぽいかなと思って。タイトルのフォントも、デザイナーさんが文字を組み合わせて作っていただいたみたいでかっこよくてすごい気に入ってます。
「いざ出来上がったものを見た時にもうなんかパーソナルすぎて恥ずかしいって思いました」
――掲載されている写真も楽しみです。
Masayoさんは、ZOCのライブ写真や、アーティスト写真などをずっと撮ってきていただいてたカメラマンさんで、一番私の顔のことを知っている人だったので、新しく撮り下ろしてもらうのもすごい楽しかったですね。
――フォトエッセイにもしっかりと書かれているとは思いますが、ZOCを卒業した理由を教えてください。
ZOCの活動をしていく中で、私はもうずっとZOCでいようという気持ちで活動してきたんですけど、メンバーが一気に辞めちゃってグループというものの形が変わっていく中で、メンバーが3人になって一度活動休止になったんですね。そのときは自分の意思ではないからZOCをやめようとは思ってなかったんだけど、自分の人生をしっかりちゃんと向き合って考えようってなったときに、ZOCの活動休止中に、お芝居は続けてやってみたりして、お芝居を通してやっぱり好きだなって思って、これで生きていきたいかもしれないと思うようになってきたんです。
私がこれまでZOCとして培ってきたことだったり、やらせてもらってきたことはやっぱ間違いなく価値ある藍染カレンではあったけれど、ここから一方先に進んで自分というものの存在価値を自分でちゃんと築いていける人になりたいなっていう思いがあって、まずは目の前の舞台のお仕事をやらせてもらいながら独り立ちしてみたいというか、そういう気持ちに自然となれたので卒業しました。
自分から次の場所に行きたいなと思えたっていうのがやっぱり一番あったのでそれをまず靖子ちゃんにお話しして、一緒に卒業を作っていこうという話をしてくださって、卒業発表してから3カ月と短い時間ではあったんですけど、10個ぐらい卒業イベントとかライブとかを卒業するライブの日に向けていろいろさせてもらえたのがすごい大事な時間でした。そういう時間の中でこの本を一緒に作らせてもらえたので、本当に駆け抜けた中で作れたなっていう感じがします。
「撮影場所も『family name』のMVを撮った場所に2人で行って、『family name』のMVっぽい構図で撮ったりしました」
――編集担当とはうまくコミュニケーションをとりながら制作を進められましたか。
本を作るというお話をいただいてからめちゃめちゃイベントやライブにも来てくれて、すごい熱心に向き合ってくれましたし感謝しています。ありがたいですね!
(編集担当)「よかったです!」
――今後はどんな活動がメインになるんでしょうか。
ライブする姿は見られなくなっても、舞台ってけっこう歌うことも多く、これまでとは別の形で歌や踊りなどに携わっていけたらなって思ってます。これまで培ってきたものを手放さないようにはしたいなって。ソロのアーティスト活動については明確なビジョンが見えないのでまだなんとも言えませんが、お芝居をやりたいと思っての卒業というのはあるので、目の前の仕事を大事に取り組ませていただきたいなと思ってます。
「藍染カレンをやっていく中で、いろんな姿を見てほしいなっていうのがありました」
――ファンにメッセージをお願いします。
ZOCっていう場所を卒業して新しく進んでいくためにも、ZOCっていう場所をこれからも愛し続けていくためにも、この本を出すことが必要だったと思うので、すごくうれしいです。
あの時ZOCが好きだったとか、皆さんの中に少しでも好きなZOCがあれば、エッセイなんで恥ずかしいですけど、たくさんの方に手に取っていただけたらなって思います。
藍染カレンを好きな人、ZOCを好きな人、ZOCを好きじゃなくなっちゃった人とかいろいろいると思うんで、このフォトエッセイでそういう人の懐にぐっと入れたらなって思います。
「私のことを好きでいてくれる人が私のことをもっと知って楽しんでもらえる本になったらいいなっていうのもあります」
撮影・取材・文=野木原晃一