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空条徐倫を演じる声優・ファイルーズあいが、ジョジョに教えてもらったこととは?「人と違うことは個性で、個性は力」

  • 2022年12月14日
  • Walkerplus

アニメ「ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン」の主人公・空条徐倫を演じているファイルーズあいさん。中学時代に「ストーンオーシャン」に出会って以来、“ジョジョ”を心から愛する彼女にとって、「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズへの出演は最も叶えたい夢の一つだった。

では、彼女はどのようにして声優の道に進み、いかにして空条徐倫役を掴んだのか。ジョジョとの出会いから憧れだった声優になるまで。さらにファイルーズさんがジョジョに教えてもらったことや、オーディションの裏話も聞いてみた。

――まず、ファイルーズさんがジョジョを好きになったのは、いつ頃ですか?

中学の頃です。ネットを通じて数々の名言を知り、ずっと気になっていました。長いシリーズなのでなかなか手が出せなかったのですが、古本屋さんで「ストーンオーシャン」を見つけたんです。ジョジョって、巻数が「ストーンオーシャン」でリセットされているから、私はこれが「ジョジョの奇妙な冒険」の1巻だと勘違いして5巻まで一気に購入しました。

でも、読んでみたら全然ストーリーがわからなくて(笑)。それで調べたら、第6部の1巻だったんですね。主人公の徐倫が、女性キャラクターでは見たこともないぐらい強くて、かっこよくて。もっとこの子のことが知りたいと思い、第1部「ファントムブラッド」から買ったところ、どハマりしました。

――最初に出会ったキャラクターが徐倫だなんて、まさに運命ですね。

吉良吉影の言葉を引用するなら、「命を運ぶと書いて“運命”」です!(笑)

――ファイルーズさんが好きなジョジョのポイントは?

それぞれのキャラクターが、どんな食べ物や音楽が好きで、服装にどんなこだわりがあるのかまで、こと細かに記されています。それは私の中ではとても革命的で、ただの漫画のキャラクターではなく、そこに存在している人物としての説得力を感じました。

それから、とても奇妙な人がたくさん出てきますが、作中で他の人がそれを指摘することはありません。むしろ個性だと捉えて、どんな人でも信頼できれば仲間として受け入れる。私は学生時代にマイノリティで周囲に馴染めず、辛い思いをしたこともあったのですが、「私もいていいんだな」と感じました。そして、人と違うことは個性で個性は力なんだと、ジョジョから教えてもらいました。

――声優業には、いつからあこがれを?

「金色のガッシュベル!!」(2003〜2006年、フジテレビ系)という作品が大好きで、小学校の低学年からずっと見ていました。そのビデオを、エジプトに送ってもらっていたんです。

――小学校の5年生から卒業まで、ファイルーズさんのルーツの一つであるエジプトで生活されていたんですよね?

そうなんです。当時はサブスクなんてありませんでしたから、同じビデオを何回も何回も繰り返し見ているうちに、今度はスタッフクレジットもじっくり見るようになりました(笑)。それで役者さんの名前を家にあった英語かアラビア語しか入力できないパソコンで検索したら、同じ人がいろいろな役をやっていることを知ったんです。

その後、中学生になって帰国したら、日本ではオタク文化が盛り上がっていて。ただ、当時は声優になりたい子だけで1クラス作れるぐらい人気の職業で、私もそのうちのミーハーな1人でした。

――では、本格的になりたいと思ったのは?

高校生になってからです。高校1年生の終わり頃には、当時の最新刊だった「スティール・ボール・ラン」まで追いつき、ネットで知り合ったジョジョファンの友達と毎晩スカイプなどで話をしていました。そのうち、「みんなでジョジョの朗読をしよう!」という話になり、そこで初めて人前でお芝居をしたんです。そしたら「上手!」って言ってもらえて、声優を目指すようになったんです。ちなみに当時は徐倫ではなく、徐倫を助けるエンポリオやフー・ファイターズを担当していました。
――ところが最初は親御さんに反対されてしまった。

はい。最初に声優の養成所に行きたいと言ったのは高校生の時です。母は「高校に通いながら行けるならいいんじゃない?」と言ってくれたんですけど、父に反対されてしまって…。結構厳しい家なのでそれ以上言えず、自分の気持ちに蓋をして、新たな道を探そうと思いました。

――そこで、グラフィックデザインの学校に進学されたんですね。

イラストを描くのも好きなので、もう一つの夢を追いかけてみようと思いました。ただ、イラストは好きでしたが、グラフィックデザインの才能はなく…(苦笑)。それに、声優になりたいという気持ちがどんどん溢れてきていたので、就活のタイミングで「どうしても声優になりたい。諦めることはできない」と母に伝えました。

――ところが、そこから1年間、普通のお仕事に就かれたんですよね?

はい。母に「就活がしたくないからそう言ってるだけでしょ」と言われてしまって。それに「声優という職業は非正規雇用だし、養成所に通っても絶対になれるという保証はない。万が一、なれたとしても仕事がなくて辞めざるを得なくなった時、再就職するには職歴があったほうがいいから、1年間、正社員として働きなさい」と言われました。なので正社員として1年間働き、そこで貯めたお金で養成所に行ったんです。

――お母さまはいろいろ調べてくださっていたんですね。

はい。母はいつも私の味方でいてくれて、味方だからこそ茨の道に導いてくれたのだと思います。いや、茨というより修羅の道かな(笑)。

それに就活や就職ではツラいこともありましたけど、数々の経験が後で役に立ったことも。例えば、就活で自己PRをするためにしていた自己分析や他己分析が、声優のオーディションで役立ちましたし、マナーや敬語の使い方、忍耐力も身についたと思うので、経験してよかったなと今では思っています。

――そうして、声優としてのデビューを掴み、「ストーンオーシャン」のオーディションに挑むことになるわけですが、当時の様子は覚えていますか?

はい。ド緊張で手も声も震えて、涙が出てしまって(笑)。徐倫はカッコいい役なのに全然ダメで、もう落ちたと思いました。だから、最終オーディションという体で呼ばれて演技して、終わった後に監督から「ファイルーズさんが徐倫に決まりましたので」とサプライズで言われた時は、もううれしくて…。その場で泣き崩れましたね。“ザ・ワールド”で時が止まったのかと思いました!

デビュー3年目にして愛してやまない役を射止めた彼女に、衝撃のオーディションから初めてのアフレコ、そしてご自身が考える夢の叶え方を聞いてみた。

――「ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン」のオーディションは、どんな形で行われたのですか?

実は徐倫役だけでなく、エンポリオとフー・ファイターズ役も受けました。もともと「徐倫を助ける役がやりたい!」と思って声優業界に入ったので。

それに私は声が高いので、徐倫の凄味を出せる自信もなかったので。だから他2人が落ちて、徐倫役で次の段階に進んだ時は正直「終わった…」と思いました(笑)。でも、不屈の精神は徐倫から学んだので、彼女への憧れの気持ちを発揮する時だ!と思って挑みましたが、ボロボロになって帰ってきました。

――全力を出し切ったのですね!

いえ…。全身で好きなことを表現しようと思って、格好もジョジョ展帰りのオタクかな?というぐらい、ジョジョ味溢れるド派手な格好で行きました。「ジョジョが大好きです。徐倫が好きで、この業界に入りました。よろしくお願いします」と部屋に入ったのですが、セリフもボロボロで…。思い出すだけで恥ずかしいです。

――意外です。その後、サプライズで徐倫役に決まったとのことですが、アフレコの初日のことは覚えていらっしゃいますか?

はい。前日は眠れませんでした。アドレナリンがすごく出ていたんだと思いますが、手を机とかにぶつけても全然痛くなくて、“サバイバー”のスタンドをくらった時みたいな状態でした。とにかく、めちゃくちゃ気負っていたことを覚えています。

――第1話をご覧になったときの感想は?

エルメェス役の田村睦心さんと、フー・ファイターズ役の伊瀬茉莉也さんの解禁イベントで見たのですが、自分でいいのかな?と思ってしまって、徐倫の声が入ってきませんでした(笑)。

でも、ジョジョの世界に自分の声が入っていることが言葉にできないぐらいうれしかったです。ジョジョの世界の住人になれたんだ、夢が叶ったんだと思いました。

――徐倫のセリフを口にしてみて感じたことは?

実は私、徐倫の目線で漫画を読んだことがなかったんです。好き過ぎて、徐倫を応援するエンポリオやフー・ファイターズ目線で読んでいたので。だから、実際に徐倫のセリフを口に出してみて、「こんなことを思っていたんだ!だから、徐倫は魅力的なんだ!」と思いました。

――演じてみて改めて感じた徐倫の魅力は?

魅力を感じるシーンでもいいですか?1つに絞るのは難しいですが、よく漫画で読み返すのは、「あそこに『骨』がある。ホワイトスネイクに近づくためなら何だってやるぞ...ドブ水だってすすってやるし誰よりも強くなる」というシーンです。自分のためじゃなく、自分の父親のためなのにそこまで我が身を削れるって、深い愛情があるからですよね。そういうところが大好きです!失敗した時って、暗い気持ちを抱えたまま前に進まないほうが楽ですけど、本当にそれでいいのか?と自分を奮い立たせる時にこのシーンを思い出します。

――徐倫はセリフがカッコいいですよね!第3話でお金をたかられている子にかける言葉も印象的でした。

「あんたを今いる場所から連れ出すのは、あんただよ」ですね!あれは、アニメオリジナルのセリフなんですよ。ほかにも、第14話で徐倫がエルメェスに「人の詮索はここじゃ野暮だぜ」とか、徐倫がフー・ファイターズに言う「あえて逆をやってみたわ」というのもオリジナルです。

アニメオリジナルのセリフは、世界観を全く壊さずにそのキャラクターが言いそうなことが書かれているんです。あれ?こんなこと言ってたっけと、思わず原作を確認してしまうぐらい自然なので、そういうところにスタッフさんの愛を感じます。漫画と比べてみても楽しいと思いますよ。

――最後にファイルーズさんがこうして夢を実現できた、その秘訣はどんなところにあると思いますか?

偉そうに聞こえたら嫌なんですけど、「自分を疑わない」ことだと思います。信じる気持ちがたくさんあっても、疑いが一つあるとモヤモヤが残ってしまうので、重要なのは信じることより疑わないことだと思います。

「どうせ声優になりたいのも思いつきでしょ?」とか、デビュー後もネットで心無いことを言われたりして、私みたいに個性が強過ぎる人は声優に向いてないのかな?と落ち込んだことも。しかし、「声優になるためには何でもやってやる!」と徐倫のマインドで努力してきたことを知っている母や身近な人たちが、ずっと応援してくれました。その身近な人たちの声を聞くことで、疑いが消えました。

でも、もし、どうしても疑いが拭えないなら、別の道を探せばいいと思います。私の夢は、第1位は声優で、第2位はイラストで食べていくこと。第3位はカナダで永住権を取ることでした。目標を1つに定めて猛突進することも素晴らしいことだと思いますが、第2、第3の夢を持っておくと心にゆとりが生まれるので、めちゃくちゃおすすめです。1つだとダメだった場合に、空っぽになってしまう可能性がありますからね。

まだまだ声優としてひよっこですが、最近はイラストを人に見ていただく機会も増えてきたので、マルチに活動できる声優になれたらいいなと思っています。

取材・文=及川静

アニメ「ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン」第13話~第24話
TOKYO MX他にて好評放送中
Netflixにて第25話~最終話第38話まで全世界独占先行配信中
2023年1月6日(金)より放送開始予定

TOKYO MX:毎週金曜日24:30~
MBS:毎週金曜日26:55~
BS11:毎週金曜日24:30~
ABEMA:毎週金曜日24:30~
アニマックス:1月14日(土)より毎週土曜日21:30~

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