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(NY)vol.1 New Yorkに進出し、ニューヨーカーの圧倒的な支持を得たホールフーズマーケット。
その戦略とニューヨーカーの食事情を探る。

  • 2005年8月1日

何よりも、ショッパーの満足度を満たす

対面販売のミートマーケット
10メートルを越すケースには100種を超えるナチュ
ラル飼育の生肉、ソーセージなどが並べられてい
る対面販売のミートマーケット。

 だが、WFMの成長の鍵は他社の買収、自然食のブームにのったという、外面による要素だけではない。本当の成長の鍵は企業内部に潜む企業フィロソフィーにある。同社の最も主張しているのは、自然食でもオーガニックでも環境寄与精神でもない。それは「同店を訪れるショッパーに満足していただくための、努力を怠らない」「成功の成果はお客様の満足度で計られる」「お客様は私たちのビジネスにとって最も大切である」という一連の顧客尊重の考え方にある。これらは、一見どこの社訓にも見られる様なことだが、これらを徹底し現場で実行され、顧客に伝わっている企業は少ない。

顧客満足の鍵を握るチームメンバー

「365」はWFMのプライベートブランド
「365」はWFMのプライベート
ブランド

 この顧客の満足度を満たしているのが、そこで働く人々のチームメンバーというWFM独自のシステムだ。チームメンバーはそれぞれの部門を背後から援助し、売り場のオペレーションや顧客に満足度を与える役割を果たす影のチーム。WFMがいかに顧客に満足を与える努力をしているかは、実際に店で買い物をすればすぐに経験できる。たとえば、買い物の後レジで会計を済ませると、レジカウンターの端で、プラスチックバッグにしますか、それとも紙袋にしますかと聞かれ商品をバッグに詰めてくれる。フロアーにも豊富にスタッフが多く、探している商品が見つからなければ、その売り場まで案内してくれる。スタッフの誰に話しかけても、実に感じがよく親切だ。スタッフ全員が顧客を満足させる努力が伺える。

資本主義の中でのLOHAS

 ここで前途したバッグについて考えてみよう。環境に寄与するというポリシーを掲げている企業がなぜ、プラスチックや紙バッグを利用しているのかと疑問に思うが、バッグはすべてリサイクルマテリアルで再利用されている。消費を減らし、環境に貢献しようという考えは、豊かな生活を目指している現代の消費者には受け入れがたい。それはあたかも、排気ガスを減らすために、車の利用を制限すると言う考えに似ている。排気ガスを減らす手段として、車の利用を制限するより、排気ガスの少ない、あるいは排出しない車の利用を高めるほうが、消費者に支持されやすい。制限より代替、リサイクルを考える、それが資本主義の豊かな消費社会におけるLOHASではないのだろうか。

次回はいよいよ、アーバン戦略の頂点といわれるNew YorkのWFMの報告を行います。
http://www.wholefoodsmarket.com/

Paul Yamaguchi

■ 筆者紹介
Paul Yamaguchi
ニューヨーク在住35年、トレンド情報誌の先がけとなった「PRONT」や「USフードジャーナル」の編集長を務め、現在世界に健康食品の情報をレポート型式で発信している。LOHASのパイオニアのHoffman氏、Lampe氏とも親しく、米国東部のLOHAS情報が少ないなか、ニューヨーク、ボストンエリアからのレポート等期待される。
http://www.functionalfoodsjapan.com/pages/1/index.htm

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