サイト内
ウェブ

Vol.22 里山で無農薬の米作りに挑戦!
LOHASコンシェルジェ 信田陽吉さん

  • 2012年7月1日

里山で素人が無農薬・無肥料のお米をつくってみたら

ビオトープ
2010-8月
 2年間放置された休耕田を借りたので近隣の小学生や自然志向のNPOと無農薬でお米を作る計画とか。でも、私たちがいくら無農薬でも隣の田んぼから農薬が流れてきたら無駄なこと。かなり否定的な思いで現地に行ってみました。尾高さんが借り受けたところは、両側に大きな木々が茂る森に囲まれ、田んぼは一番高い場所にありました。この上には森だけで人家がない。つまり、湧き出る水は、何の心配もない里山の水という理想的な環境です。家庭菜園でトマトは作れるけど、田んぼでお米を作るチャンスはめったに巡ってこないと決意。有機農業の本とDVDを借りて勉強開始しました。ちなみに、尾高さんも農業経験はゼロの素人。映像制作の仕事でいろいろな農法を取材しているうちに、自分で作ってみよう立ち上げたプロジェクトです。
 全部で4枚の田んぼのうち、一番上(右上写真では下の部分)はビオトープとして生き物たちの楽園にしました。田んぼには100種類以上の生き物がいるとか。ビオトープにした小さな池には草ぼうぼうの小島がありカエルやクモ、バッタたちが暮らしています。水の中には、トウキョウサンショウウオの姿もあります。その生き物たちの営みから恵みをもらって無肥料でのお米作りです。


40間隔
2010苗
小学生
収穫
 お米作りは、田んぼを耕す「代かき」から始まりました。日本の水田には、43科191種類の雑草があります。有機農法は、除草剤を使わずにいかに雑草を抑えるかが、ポイントになります。1回目は田植えの30日前に行う「荒代」。水を張った田んぼをトラクターでかき回して土中にある雑草の種を土の表面に出して発芽させます。2回目は、田植えの3日前頃にトラクターで成長した雑草を土に梳き込んで、絶対量を減らす作戦です。

 5月30日、いよいよ田植え。ビニールハウスを使わずに育てた特別な5.5葉、約20センチの大人の苗、成苗(せいびょう)を手で植えました。慣行農法の苗は、2.5葉10センチくらいの赤ちゃん苗、稚苗(ちびょう)です。一般的な田植えはゴールデンウィークの頃ですので約1カ月遅れです。苗が大きくなっている分、後から植えても刈り入れの時期は、ほとんど同じとか。
 苗はひとつかみを手に取り1〜2本を手でちぎって指の第2関節くらいまで入れていきます。卵から孵化したばかりのオタマジャクシや田んぼの生き物たちが泳ぎ回る光景は、忘れていた何かを思い出す時間。微生物たちが住む田んぼの泥が温かいのも、大発見。植えた後は、なんとも頼りなげで雨で流されないか、心配でした。
 6月13日、雑草退治。苗は、流されずにしっかり成長していました。生えてきた雑草を箒や鎌で退治します。
 7月25日、90センチまで成長して稲の花が咲きました。田んぼの生き物たちとお日様、それに里山からの水だけで肥料を使わないのに、稲は偉いです。ちいさい花ひとつが一粒のお米になります。
 8月25日、実るほど頭を垂れる稲穂かなって、ほんとうです。見事に育ってくれました。
 9月10日、いよいよ刈り入れ。近所の小学校の総合学習として田植えから参加した子供たちも鎌を手に稲刈り。子供たちが育てたお米は、全校250名の給食に。たくさんの人の輪に助けられ、お天気にも恵まれて順調に育ったコシヒカリ。播種(苗を発芽させる前の種の選抜)の段階から農薬を使わないので、玄米でも安心して食べられるお米ができました。自然の営みと稲作を伝えてくれた先人の知恵に感謝です。

 昨年は、除草作業は、尾高さんにほとんどお任せしたので美味しい思いだけしました。今年は、すべての作業を自分でやろうと、毎週、田んぼに通っています。一人ではさみしいので尻尾のある娘と午前5時半から田んぼにいきます。聞こえるのは里山に響き渡るホーホケキョと風の音だけ。里山の風景に癒されながら美味しいお米ができる素晴らしい時間に感謝しています。 (ブログでお米の成長過程をご覧いただけます。)


キーワードからさがす

gooIDで新規登録・ログイン

ログインして問題を解くと自然保護ポイントが
たまって環境に貢献できます。