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Vol.18 並木俊幸さん、斉藤完一さん
持続可能な農業への挑戦

  • 2009年10月1日

ハエのチカラで問題を克服

コンポスト
イエバエの卵を振りかけた豚ふんをコンポスト内に入れると6日目には幼虫になって下の容器に落下。このコンポストが1つが1日分3トンを処理
コンポストの排気口
全部で7個あり1週間で循環する。5日目頃から臭いはなくなるがコンポストの排気口からヒバチップの中を通って排気される。
 地球上に生息する動植物の70%は昆虫です。昆虫がこのように繁栄している秘密は昆虫が持っている優れた自己防衛能があります。昆虫であるハエは、いろいろな動物の死体や糞を分解する世の中になくてはならない昆虫で、このズーコンポストでは、そのハエが環境にやさしい驚異の働きをしてくれるのです。
【迅速で簡単】
蓄ふんをトレイに敷き込み、イエバエの卵を接種。イエバエ幼虫の消化酵素により7日間で蓄ふんを分解し、処理が終わると幼虫が這いだし、手をかけることなく堆肥と分別されます。
【環境にやさしい】
ズーコンポストは、地球温暖化の原因となるCO2やメタンの排出量が驚異的に低減します。
【有益】
昆虫の酵素による変換機能を活用して生産されるので、天然のキトサンが含まれる有機質肥料になり、一般的な堆肥と比べ性能が安定し高価格で販売できます。
【健康な作物の生産】
ズーコンポストで生産された肥料は、虫の持つキトサンが土壌を活性化させ植物を病気から守り、殺虫剤や農薬の使用が少ない農産物の収穫が期待できます。
【飼料を生産】
イエバエの幼虫は、養鶏や養殖魚、観賞魚などの飼料となります。

 家畜の飼料には、感染症などの病気を防ぐために抗生物質が使用されますが、抗生物質は耐性菌が出来るため、より強い抗生剤が必要になるといいます。抗生物質に代わる薬の第一候補が抗菌ペプチドであり、イエバエの幼虫は高タンパクでアミノ酸の種類も多く、幼虫を乾燥し飼料にすれば、キチン・キトサンが豊富に含まれた機能性飼料ができるという。

肥料作業
イエバエの幼虫が処理しサラサラになった蓄ふんは乾燥機で、さらに乾燥させ有機肥料となる
鶏
幼虫は、その体を作るタンパク質が抗菌性が高いことから、鶏や魚の良質の飼料となる

並木さん
NHKワールドで紹介された並木さん(上)と斉藤さん(下)
斉藤さん
 「従来の堆肥と異なり、イエバエ幼虫の消化酵素で分解した堆肥は完熟度が高く、しかも抗菌性にすぐれているので良質な有機肥料になるのです」と並木さん。さらに、ふん尿と一緒に分解される粉砕したもみ殻やその燻炭を豚舎の床に使うなど、商品としてよりよい堆肥にするための工夫もかさねています。

 2009年11月、NHK国際放送のズーコンポスト紹介番組で並木さんとそのズーコンポストで生産された肥料を使って有機栽培をしている斉藤完一さんが世界各国に紹介されました。
 有機農業界ではその名を知らぬ人はいないほど、野菜の味に定評があり、有機農業歴20年以上の斉藤完一さん。「有機栽培で一番大事なのは土づくりで、科学的なものは一切使わず、その基本が良い堆肥作りで微生物を大切にすること」という斉藤さんの畑自慢は、畑に棒を刺すと1メートル以上スルスル入るというのです。

 ズーコンポストで生産された肥料は、虫の持つキトサンが土壌を活性化させ植物を病気から守り、好ましい収穫ができ、病気の発生も減少しているという。

 

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