サイト内
ウェブ

Vol.18 並木俊幸さん、斉藤完一さん
持続可能な農業への挑戦

  • 2009年10月1日

環境にやさしい循環型農業を

斉藤さん
TV番組で紹介された斉藤さん
 有機農法こだわり続けて20年、斉藤さんの基本理念は「楽しい農業」「次世代に継承する農業」「食べる人のことを考えた農業生産」「環境にやさしい循環型農業」。なかでも新しい担い手をどう育てていくかが日本の農業の再生の決めてとなると考えている。
 現在の農家はどのように指導しても後4〜5年でそれ以降は農業を続けられない農家が多い。そしてその後の農地の活用を依頼される事が少なくないという。斉藤さんは現在の耕作放棄地や今後出てくる農地に若い就農者を指導し独立させる試みを行っている。彼らに有機的な農法を指導し、消費者に信頼される農産物を提供していけば、農業は変わって来るはずと言う。現在10人以上の若い就農者の面倒を見ながら相談に乗っている。

国立ファーム「野菜の台所」のポスター
国立ファーム「野菜の台所」のポスター
 「本来の自然の力で育った野菜でつなぐ、生産者、販売者、消費者の信頼関係。私は安心、安全な野菜を育てる有機農法に自信と誇りをもって取り組んでいます。農業には土作りが一番大切であり、近代農法は窒素、リン酸、カリを含む化学肥料中心の栽培ですが、そうでなくても野菜は育ちます。
 今の農業は環境や土の大切さよりも、生産性や効率化の方が重視されています。スーパーなどで売られている野菜は見栄えもよく、サイズも一定です。しかし、その裏でどのような生産が行われているか、消費者の皆様は知らずに口にしています。私は生産者、販売者、消費者の思いが一体になって安心、安全という信頼関係を築き上げることが大事だと考えております。そのため、日々試行錯誤を重ね、自然の力に即した栽培方法を模索しています。本来持っている力を取り戻せば自然界はうまく循環します。そして自然によって人間が癒され、解放されること、それを一人でも多くの人に伝えたいと思います」という斉藤さんは、同じ考え方を持った仲間と生産者のネットワークをつくり自分の畑で作ったものを自分の手で販売していこうと考えているそうです。

 

取材後記
 取材で感じたことは、農業も畜産業にしても最終の選択権や判断は消費者にあるということだろう。わが国の消費者が農業の衰退を招いた大きな要因であった可能性は大かもしれない。
 消費者の食の安全性についての関心が高いと言われるが、現実にはほど遠い。アンケートや調査では「価格より安全」という消費者のデータが多いが、現実は違っているのだろう。日本の有機農産物の農産物全体に占める割合が0.17%という数字が示している。
 農産物の安全に関する情報が氾濫する一方で正しい知識が伝わっていない。農業には農業生産者だけでなく消費者の理解と応援がそして「正しい賢い消費」が必要なのだろう。

キーワードからさがす

gooIDで新規登録・ログイン

ログインして問題を解くと自然保護ポイントが
たまって環境に貢献できます。