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Vol.29 ゴミ処理場見学報告

  • 2009年8月13日

 みなさん、こんにちは。ゴスペラーズの北山陽一です。
 先月は、3回にわたってみなさんから寄せられた質問にお答えしてきましたが、そのなかでひとつ回答を保留していた部分があります。「北山はどうしてペットボトルを燃やすゴミとして捨てることにしたのか?」という疑問についてです。今回はその質問に対する答えの前段として、Vol.24でお伝えしたゴミ処理場見学について報告したいと思います。

 今回見学したのは、港資源化センター、東京ペットボトルリサイクル株式会社(TPC)、品川清掃工場の3カ所。港資源化センターは、港区内で回収された資源ゴミ(古紙、ビン、缶、ペットボトル)を分別し、一定の大きさ/一定の重さにまとめる作業を行う施設で、ここで処理されたペットボトルが次に運ばれるのがTPCです。TPCでは、使用済みペットボトルを粉砕し、「再生PETフレーク」にするまでの作業が行われています。品川清掃工場は、可燃ゴミの焼却処理施設です。焼却の際に発生する熱を発電や熱供給に利用したり、焼却後の灰をスラグ(人口砂)化して再利用する取り組みも行っています。それぞれの見学先で対応してくださったみなさんはとてもていねいに対応してくださり、またこちらの質問に対してとても正直に答えてくださいました。改めてお礼を申し上げます。本当にありがとうございました。

 さて、ここからの話は、リサイクルの全体の流れを把握しておかないとわかりにくい部分もあるかもしれません。でも、その全体をここで説明しているとなかなか大変なので、ペットボトルについての基礎的な知識やリサイクルの流れに関しては、PETボトルリサイクル推進協議会のホームページを参照してください。それぞれの施設のホームページもチェックしておいてもらえると、さらにわかりやすいかもしれませんね。
 今回のゴミ処理場見学は、「生活から切り離されてしまった“捨てた後のゴミの世界”を取り戻すために体感しに行こう」という企画でした。体感することで、切り離されていた部分が生活の中に実感として入ってくるんじゃないか、というわけです。実際、いろいろと印象的な経験をしました。例えば資源化センターでは、回収してきたペットボトルを1カ所に集めているフォークリフトの足元からものすごい破裂音がしたんです。フタが閉まった状態で捨てられたペットボトルが轢かれて破裂したんですね。そういう体験をすると、日々の生活のなかでもとりあえずキャップははずして捨てようと思いました。

 僕自身は、こうした社会的な分業の仕組みに任せきりにしていたことに対して改めて具体的な実感を持ったときに、自分の生活の基本的な考え方を変えないといけないのかなという感覚になりました。つまり、自分を取り巻く生活環境をどこまで受け入れるか? あるいは、何について“これは変えるべき!”と思うか?ということを改めて考えてみたということです。
 例えば、コンビニに行くと飲み物の半分以上がペットボトルで売られているという環境を受け入れて、そのなかから選ぶということなら何も変わりません。そこで、“自分は缶を選びます! 効率的にリサイクルしたいから!”と、コンビニという環境との関わり方を変えてみるのもアリなわけです。あるいは、シャンプーとか洗剤は詰め替えパックを買って使うということをやっているわけだから、それと同じような発想で、飲み物も紙パックや2lペットボトルで買って自分の水筒などに入れて飲むというようなスタイルは現状でも十分選択肢として成立するはずですよね。そうやって生活のなかの変えていく対象を考えていかないといけないかなと思ったんです。しかも、もっと本気でね。

 確か資源化センターの人だったと思いますが、「家庭に500mlのペットボトルが必要なのか?」と言われてハッとしました。確かに、家庭ユースなら2lボトルでいいはずなんです。持って歩くわけじゃないんだから。で、持って歩く場合は、2lボトルから携帯用のものに移して持って歩くことにすればいいわけで。これまでも、“水筒を持って歩こう”という気分はあったし、紙パックのほうがましということも知っていたけれど、その2つのことを組み合わせるということに思い至らなかった自分が悔しいって感じでしょうか。
 これはほんの一例ですが、今回の見学では“やっぱり、現場に行かないと駄目だなあ”ということを本当に強く思いました。自分の目、自分の足で現場を確認しないとわからないことが沢山ある。そう言う意味で、今回の見学は思っていた以上に収穫が多くて、非常に満足しています。  そして、ペットボトルを燃やすゴミに出すことについても、今回の見学で改めて僕はその意を強くしました。次回は、そのことについて詳しくお話します。お楽しみに。


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