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「このコンテンツは、FoE Japan発行の『green earth』と提携して情報をお送りしています。

Vol.8 日本の違法伐採対策の課題~2020年東京オリンピック、「お・も・て・な・し」にふさわしい木材利用を実現するために

  • 2015年3月19日

サラワク材の代替材となり得るか?~国産型枠合板のポテンシャル

 では、違法リスクの非常に高いサラワク材の調達が回避された場合、その代替となる製品はあるのでしょうか?ここでは型枠合板に絞って考えてみます。

都内のタワーマンション建設現場の様子:オレンジの板がコンクリート型枠合板。
都内のタワーマンション建設現場の様子:オレンジの板がコンクリート型枠合板。
 熱帯木材の過剰生産、消費による熱帯林減少・劣化が問題視され、新聞誌上を賑わせた1990年代から、国内の建材製造業者(主に合板製造業者)によって国産のスギ、ヒノキ、カラマツなどを用いた代替製品の開発が進められています。しかしながら、国産針葉樹型枠合板に対する現場の評価は厳しく、熱帯型枠合板に比べ以下のような課題が指摘されてきました。1)生コンクリートの水を吸った後、強度が低下し、コンクリート形成時の応力に負けてしまう恐れがあり、二枚張りや桟木の追加などの補強が必要、2)接合面が剥がれるなどで強度が低下し、複数回の使用に耐えられない、3)表面の平滑性に欠けるため、表面塗装が必須。いずれの場合も追加コストがかかるため、現場の事業者には受け入れられませんでした。

 その後の官民を挙げた継続的な開発努力により、近年そうした課題が徐々に克服されつつあります。例えば、14階建てのマンション建設現場での実証実験では、複数回の転用を重ねても、たわみ・はらみといった変形がほとんど起らず、表面仕上がりも合わせ熱帯型枠合板に比較しても遜色のない結果となりました。また、治山工事等において使用された事例においても問題ない仕上がりになっています。生産総量は依然としてサラワク材型枠合板の全量を代替するには及びませんが、少しずつでも国産材製品への代替が進められ、施工実績を積んでいくことにより「脱サラワク材」が実現するものと期待しています。

新宿新南口開発:サラワク材合板が使われている。
新宿新南口開発:サラワク材合板が使われている。
 オリンピック招致の際に、日本社会に根付く歓待の精神を紹介する言葉として使用され、2013新語・流行語年間大賞にもなった「お・も・て・な・し」。2020年に開催される東京オリンピック本番が、非持続可能な木材や違法リスクの高い木材が使用された建造物での「お・も・て・な・し」とならぬよう、今すぐ取組みを始めねばなりません。(三柴淳一)

(『green earth』vol.53 2014 winterより抜粋)

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