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Vol.8 日本の違法伐採対策の課題~2020年東京オリンピック、「お・も・て・な・し」にふさわしい木材利用を実現するために

  • 2015年3月19日

サラワク州のアブラヤシ農園開発の様子-うっそうとした熱帯林が「緑の砂漠」に
サラワク州のアブラヤシ農園開発の様子-うっそうとした熱帯林が「緑の砂漠」に
 2020年東京オリンピック開催に向けて、ビジネス界やメディアは徐々に盛り上がりを見せています。今後、各種競技場や選手村など関連施設の建築工事が着工されるわけですが、その工事に使用される木材・木材製品の環境・社会配慮は適切に担保されるのでしょうか?国際社会を挙げての取組みが進む違法伐採対策は、2013年3月EU木材法の施行以来、新たなステージに推移しています。東京オリンピックへの対応によって、違法伐採対策に対する日本の姿勢が試されることになるでしょう。

進むオリンピックのグリーン化

 近年のオリンピックでは、大会の準備、運営、そして開催後のことも視野に入れた包括的な環境配慮が進められています。2008年の北京大会では、競技場の建設にあたり環境に優しいグリーン建材の利用が義務付けられました。2010年のバンクーバー大会では、環境に配慮した建物の認証制度であるLEED認証(※1)によりオリンピック施設のグリーンビルディング化が推進され、使用木材の大半に森林認証材が採用されました。2012年のロンドン大会では「オリンピック史上最も環境に配慮した大会」が目標として掲げられ、「ロンドングリーン・ビルド2012」なる取組みの中で、木質資材の大半に森林認証材が採用されています。

 こうした流れを受け、環境省も2014年8月、2020年の東京大会に向けた政府の取組みの方向性についてまとめています。(※2)資料では「第32回東京大会を契機に、こうした取組みを大会自身に盛り込んでいくだけでなく、大会が開催される東京を中心とした都市圏において盛り込み、内外に波及させていくことが、これからの我が国に真の豊さをもたらす道筋であり、また世界が直面している課題に対する我が国のメッセージである」としています。

 資料の中で具体的に木材利用が関係するのは「強化されたグリーン購入基準の適用」の項目。現行の基準よりも厳しい基準でグリーン購入を実施することが望ましいとしています。

(※1)LEED(Leadership in Energy & Environmental Design)の略。米国グリーンビルディング協会が開発・運営する環境に配慮した建物に与えられる認証システムのこと
(※2)環境省(2014)/「2020年オリンピック・パラリンピック東京大会を契機とした環境配慮の推進について」
http://www.env.go.jp/press/files/jp/24949.pdf

より厳しい基準が必要な現行の「合法木材」制度

 日本の違法伐採対策は、グリーン購入法の下、国等が調達する木材・木材製品の合法性を確認することを義務付け、合法性が確認できるものの調達を推進し、それが確認できないものを減じていくという方策で、2006年4月より本格化しました。この制度に加え、その後に打ち出された長期優良住宅制度や木材利用促進法などの政策の効果もあってか、関連する各業界団体が認定制度を整備し、国内の多くの木材取扱企業が「合法木材を供給できる」という認定を受けるようになり、政府や業界関係者間では「合法木材の供給体制は整った」と評されています。しかしながら、この「合法木材」には、違法リスクが非常に高く、環境的に持続可能でないマレーシア・サラワク材、中国経由のロシア材、そして近年問題視されているミャンマー材などが含まれています。(三柴淳一)

サラワク州奥地での伐採の様子:急斜面の伐採道敷設は禁止のはずだが・・
サラワク州奥地での伐採の様子:急斜面の伐採道敷設は禁止のはずだが・・
サラワク州奥地:朝靄がかかる豊かな熱帯林本来の様子
サラワク州奥地:朝靄がかかる豊かな熱帯林本来の様子

(『green earth』vol.53 2014 winterより抜粋)

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