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「このコンテンツは、FoE Japan発行の『green earth』と提携して情報をお送りしています。

Vol.8 日本の違法伐採対策の課題~2020年東京オリンピック、「お・も・て・な・し」にふさわしい木材利用を実現するために

  • 2015年3月19日

輸出許可証では確認できないミャンマー材の違法リスクとは?

 ミャンマーでは現在、民主化により欧米諸国の経済制裁が緩和され、急速に開発事業が拡がり、その対象地となった天然林の伐採が進められています。そこでは、伐り出された丸太が国境を接する中国やタイなどの近隣諸国へ密輸されたり、事業者と伐採地周辺コミュニティ間で、土地や森林利用の権利などを巡る争いが起きていることなどが報告されています。同国の輸出用丸太は、法律上すべてヤンゴンに集約された後に輸出されますが、その出所は適切に管理されておらず、遡及性(トレーサビリティ)は確立されていません。つまり伐採地における施業違反や周辺コミュニティとの争いの有無について、輸出許可証のみでは確認することができないのです。ミャンマーの「合法木材」における違法リスクは限りなく高いと言わざるを得ません。

 輸入側がこれを回避するためには、1)伐採により影響を受ける第三者の、利用および所有に関する法的権利への配慮を「合法」の基準に含めること、2)サプライチェーンに潜むすべての違法リスクを把握し、高いリスクが確認された場合は、適切なリスク軽減措置を実施する、または調達をやめる、というような違法リスクの高い製品を適切に排除することのできる仕組み(いわゆるデューディリジェンス)を導入することが不可欠です。

より厳しい基準の実現に向けた第一歩 ~「合板型枠」の追加

急斜面での伐採道敷設。禁止されているはずなのだが・・(サラワク州)
急斜面での伐採道敷設。禁止されているはずなのだが・・(サラワク州)
 上記が実現するためには、最低限、違法リスクの高いすべての材が合法性を確認する対象に含まれていなければなりません。しかし、例えば、サラワク材で作られる主要製品の一つである型枠合板は、これまでその対象に含まれていませんでした。型枠合板はコンクリート形成過程において使用されるものの最終製品とは見なされず、数回は再利用もされていることから、これまで合法性の確認対象から除外されてきたのです。

 合法性を確認する製品の種類は、グリーン購入法の基本方針において定められていて、毎年見直されています。平成26年度の見直しでは、FoE Japan等の提案により、建設・建築現場で使用されているコンクリート形成用の型枠合板が品目リストに新たに追加されました。この見直しによって、ようやくサラワク材の合法性およびその信頼性を、法に基づいて問うことができるようになりました。(三柴淳一)

(『green earth』vol.53 2014 winterより抜粋)

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