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「このコンテンツは、FoE Japan発行の『green earth』と提携して情報をお送りしています。

Vol.15 沖縄・やんばるの森と人々の暮らし 米軍ヘリパッド建設のもたらすもの

  • 2017年2月10日
  • green earth

 やんばるの森は、沖縄島北部の国頭山地に広がる亜熱帯の常緑広葉樹林。地球上でもこの森や琉球列島にのみ生息する固有種が数多く見られ、世界遺産の候補地ともなっています。
 このやんばるの森の東村と国頭村にまたがる地帯に、米軍のオスプレイの着陸帯(ヘリパッド)が6か所建設されようとしています。
近隣の高江集落の住民は、9年もの間、建設に反対して座り込みを続けています。今、全国から集められた機動隊が反対住民らを暴力的に排除する事態が生じています。

やんばるの森で今なにが?

東村高江とやんばるの森の位置関係  東村高江は人口150人ほどの小さな集落。自然豊かな環境で住民は平和に暮らしてきました。住民たちは、やんばるの森を「神々のすむ森」として畏敬し、守ってきました。
 しかし、集落を取り囲むように、6か所の米軍オスプレイ用離着陸帯が造成されようとしています。住民の強い反対にも関わらず、すでに2つは出来てしまい、オスプレイが耐え難い騒音をまき散らして昼も夜も飛び続けています。
 今年7月の参議院議員選挙で、米軍基地建設反対を掲げる候補が、現職大臣を大差で破り当選。しかしその翌日、政府は日本中から500人もの機動隊を派遣し、座り込みの抗議行動を非暴力で行う住民とその支援者を暴力的に排除したのです。その結果、頸部を圧迫された女性、ろっ骨を折られた男性など、3人が救急搬送されました。また、沖縄防衛局は市民のテントや全国からの支援物資を持ち去りました。これらの行為を含む日本政府の今回の強行手段は、違法性が高いものであると複数の弁護士が指摘しています。
 その後も、必死になって抵抗運動を続ける反対住民らを、機動隊は力で制圧。不当逮捕で威嚇し、現場の状況を報道しようとする記者2名の自由を奪うなど、本土ではありえないような状況が続いています。

やんばるの森の生態系

今年9月15日、「やんばる国立公園」が誕生しました。政府は世界遺産への登録をめざしていますが、ここには問題となっている米軍北部訓練場の敷地は含まれていません。
 やんばるの森には、オキナワトゲネズミ、ノグチゲラ、ヤンバルクイナ、オキナワイシカワガエル、ヤンバルテナガコガネなど、地球上でこの森や琉球列島にのみ生息する固有種が多く見られます。これらは、地質時代、特に氷河期に琉球の島々が大陸からの分離と連結を繰り返した頃、大陸から移動した後、島々に隔離され、独自に進化した生物です。生物多様性保全のための重要な生息地であることから、世界自然遺産の登録基準を満たしており、地球規模でみても普遍的な価値を持つ地域と言えます。しかし、オスプレイパッドの建設と軍事訓練は、森林の破壊と分断、風の吹き込みや太陽光の差し込みによる乾燥化、オスプレイの騒音や高温の排気ガスなど、この森と野生生物に大きな悪影響をおよぼします。

コノハチョウ リュウキュウハグロトンボ
アカボシタツナミソウ琉球列島固有種 オキナワシリケンイモリ ノグチゲラ
やんばるの森には多くの固有種や希少種が生息する(宮城秋乃さん撮影)

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