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その選択、本当にエコ?
~ライフサイクルアセスメントで自分の行動を見直そう~
-「第27回エコ×エネ・カフェ」(後編)

  • 2018年3月8日
  • 緑のgoo編集部

全体セッション

ワールドカフェ後は、全体セッションで、講師への質問や感想を交わしあいました。

参加者:自然エネルギーはCO2の排出が少ないというお話がありましたが、必ずしもそうとは言えないと考えています。自然エネルギーだけではすべてを賄えずに電圧や周波数の維持のために火力発電が使われているのが現状なので、その部分も考慮しなければいけないのではないでしょうか。自然エネルギーを蓄電するための蓄電池をつくる過程での環境負荷など、そこまで考えないとLCAにならないと思います。

田原:まさにそうですね。LCAでできるのは、一つひとつの発電技術がどうなっているのかということで、重要なのはその先だと思います。LCAの結果を使いながらモデルをつくって、どういうシステムができるのか、トータルでの評価が重要だと思います。自然エネルギーはCO2の排出が少ないというのは、あくまで発電技術としての話です。自然エネルギーを推進するときに、どういうシステムをつくるのかを考えることが大事なポイントだと思います。

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参加者:感想なのですが、LCAの情報を聞いても実感がわかないと感じました。「CO2をこれだけ排出する」と言われても想像がつきにくいです。「ケーキ何個分です」など、生活の中で目の前にある物でわかりやすく言われないと一般の人はわからないと思います。

参加者:カーボンフットプリントのようなCO2排出量の情報も、その量が多いのか少ないのかがよくわからないので、何か基準になるようなものがあればいいと思いました。例えば、一人あたりの排出量が決まっていて、超えたら税金を払わなければいけないとなったらみんな削減しますよね。そういう使い方はされないのでしょうか?

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田原:CO2チェッカーにもありましたが、一人あたり年間5,800kg排出されます。それを1日で割って、というふうに計算していけばイメージできると思います。私たちの研究は、いかに精度の高い情報を出すかということなので、情報を一つひとつひも解いていくのにはまた別のポジションの方の関わりが必要になります。日本の場合そもそもCO2の排出を気にもしないという人がほとんどなので、カーボンフットプリントの情報もポジティブに受け取ってもらうことはまだできていません。キャップ(制限をかける)にしてしまうと経済が下がっていってしまうので、なんとか自発的な行動で変えていけたらと思います。そのための情報提供をするのが、私の仕事です。

森:キャップの時代は来ると思いますか?

田原:難しい質問ですね、将来気候変動が激しくなれば、もしかすると来るかもしれません。個人的には、キャップではなく技術の進歩や意識改革で乗り切りたいと思います。産業を守ることと環境を守ることのバランスをどうするのか、産業界の声はどうしても大きくなりがちなので、環境分野の知識を持っている人たちが声を上げてディスカッションし、一人ひとりが積み上げて考えていくしかないと思います。

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参加者:スマート家電が進化していますよね、アプリで簡単に環境負荷がわかる時代がすぐに来そうな気がします。それで消費行動を変える人が多数派になれば社会が変わっていくと思うのですが、海外などで実際にそういう事例はありますか?

田原:ヨーロッパではモデル事例があります。スーパーで買い物をしたとき、レシートにどれくらいCO2を排出したかが書いてあります。また、バーコードと連動させて、食べもの食べた時の環境負荷がわかるアプリをつくろうという動きもあります。アプリをどれだけの人がやってくれるのかが問題ですよね。他に情報を付け加えた方がいいのかなどを議論しながら動いています。

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