館内の装飾やアフタヌーンティーで、和の伝統や文化にふれる贅沢なひとときを提案。今回ご紹介するのは、日本の美しい春が体感できるラグジュアリーホテル3軒です。
「ザ・ペニンシュラホテルズ」では、ホテルが所在する土地の文化や伝統をさまざまなプロダクトやコンテンツを通して紹介している。「ザ・ペニンシュラ東京」では、昨年2024年から、日本の伝統美を魅せる“紋章上繪師(もんしょううわえし)”が春や秋を表現した“オリジナル家紋アート”でロビーを装飾し、『本物の和を取り入れた空間をさらなる芸術の場に昇華させた』と好評を博している。
今春、ホテル1階のダイニング「ザ・ロビー」を彩るのは、「京源」三代目、紋章上繪師の波戸場承龍(はとばしょうりゅう)氏とその息子である波戸場耀鳳(はとばようほう)氏が手掛けた“家紋アート”。長谷川久蔵が描いた国宝「桜図」をモチーフに、金箔をふんだんに使用した絢爛豪華な背景や立体的に描かれた桜の花びらと力強い桜の大木などを独自の解釈で再現。デジタルで新たに描き起こしたうえで、特殊な印刷技法を用いて美濃和紙に印刷されている。まさに日本の美しい春を感じさせる大作だ。
そんな“オリジナル家紋アート”が展示されている「ザ・ロビー」では、今年2025年も春をテーマにした人気のアフタヌーンティーが登場。
桜をイメージした愛らしいカラーや桜の花をかたどったチョコレートを取り入れたスイーツ6種類、グリーンピースや新玉ねぎをはじめ、桜鯛、筍、新じゃがいも、春キャベツ、空豆や蕗味噌など春の食材をふんだんに取り入れたセイボリー7種類などをラインアップ。
また今回は、キッシュとパウンドケーキの中間のようなセイボリー「ピクニックケーキ」を初めてペストリーチームが用意。チーズや卵、ハムの旨みと、食感が楽しいひと品だ。
“オリジナル家紋アート”を鑑賞しながら、桜をテーマにした華やかなアフタヌーンティーをいただく。都心のラグジュアリーホテルで、そんな日本の春を満喫するアーティスティックな体験をぜひ堪能して。
ザ・ペニンシュラ東京
所在地 東京都千代田区有楽町1-8-1
電話番号 03-6270-2888(代)
https://www.peninsula.com/ja/tokyo
2023年9月に開業した、フランス発「メルキュール」ブランドの「メルキュール東京日比谷」では、期間限定で「歌舞伎」とのコラボレーションによるアフタヌーンティーを提供中だ。
「メルキュール東京日比谷」は、進化し続ける劇場文化の聖地である日比谷に誕生したことから、“劇場の舞台美術(Stage Art)”をデザインコンセプトとしている。そして日比谷と隣接する銀座には、日本の三大古典芸能でユネスコの無形文化遺産にも指定されている「歌舞伎」を上演する「歌舞伎座」や「新橋演舞場」がある。
そこでこの春、同ホテルでは「歌舞伎」とコラボレーション。歌舞伎三大名作のひとつに数えられる『義経千本桜』をテーマにしたアフタヌーンティーを創作。その世界観と桜で、春の季節を楽しませてくれる。
源義経を軸に、平家の生き残りやその他の人々の生き様を描いた作品『義経千本桜』の主人公のひとり・佐藤忠信(実は源九郎狐)をモチーフに、その登場場面の世界観から着想を得たアフタヌーンティーに並ぶアイテムは、味わいはもちろん、見た目も麗しい至極のセット内容だ。
皇居の森を飛ぶ蜜蜂から採取した希少なハチミツ(今シーズンは「さくら」)をたっぷりと使用して店内で焼きあげる、レストラン・カフェ&バー「ラ・セヌ」のスペシャリテ「焼きたてフィナンシェ 皇居蜂蜜さくら」などスイーツ8種、セイボリー5種。春爛漫のバラエティ豊かなメニューに加え、1名につき1杯「隈取(くまどり)ラテ」がセットになっているのもうれしいポイントといえる。
“地域のインスピレーションを大切にする”ホテルブランド「メルキュール」ならではの着目で、「歌舞伎」を通じて“日本の春”を表現した唯一無二のアフタヌーンティーが楽しめるのは、2025年5月31日(土)まで。
メルキュール東京日比谷
所在地 東京都千代田区内幸町1-5-2
電話番号 03-3528-8392(レストラン・カフェ&バー「ラ・セヌ」直通)
https://www.mercure-tokyo-hibiya.com/
マリオット・インターナショナルのラグジュアリーホテルブランド「The Luxury Collection®」の日本初進出ホテルとして、2015年、京都・嵐山に誕生した「翠嵐(すいらん)ラグジュアリーコレクションホテル 京都」。
同ホテルでは2015年の開業時より、築100年を超える歴史的建造物「八賞軒」(現「茶寮 八翠(さりょう はっすい)」で「和のアフタヌーンティー」を提供しているが、この春、明治期から受け継がれている漢詩「八賞軒詩(はっしょうけんし)」をテーマにしたセットに刷新。
「八賞軒詩」とは、幕末に京都に生まれた“最後の文人画家”と称えられる富岡鉄斎をはじめ、明治時代に活躍した8人の詩人が集い、季節ごとに美しい姿を見せる嵐山の八賞(8つの美しい景色)を読んだ漢詩のこと。
今春スタートの「和のアフタヌーンティー」では3カ月ごとにテーマを変え、移り変わる季節を表現したメニューを全四章(4シーズン)にわたって提供する。
2025年5月31日(土)までの第一章は、「花・新緑」の詩がテーマ。
桜が舞い散る幻想的な風景を表現したかんてん「花」、煎茶と柑橘の香りがふわりと広がるブッセ「苔」、口の中で和三盆の優しい甘さが広がる青紅葉の落雁「新緑」。京都老舗菓子司「亀屋良長」が同ホテルのために手掛ける、特別な和菓子を堪能することができる。
セイボリーは「スモークサーモンと春キャベツのサンドウィッチ」や「グリーンピースとベーコンの焼玉〆」など、春から初夏の季節を感じられる素材を使用。またスイーツやセイボリーのおともには、フランスの老舗紅茶ブランド「DAMMANN FRÈRES(ダマン フレール)」のダージリン ファーストフラッシュや、京都老舗茶舗 「孫右ヱ門(まごうえもん)」の早摘み煎茶「晴嵐」など全23種類のドリンクがフリーフローでいただける。
京都を代表する景勝地・嵐山に佇む「翠嵐 ラグジュアリーコレクションホテル 京都」では、花ひらく春から若葉が風に乗ってささやく初夏の美しい嵐山の情景とともに、保津川のほとりに佇む「茶寮 八翠」のアフタヌーンティーで寛ぐ至福のひとときが待っている。
翠嵐 ラグジュアリーコレクションホテル 京都
所在地 京都府京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町12
電話番号 075-872-1222(「茶寮 八翠」直通)
https://www.suihotels.com/suiran-kyoto/
文=立花奈緒(ブレーンシップ)