前回紹介したBarretstownでは、重い病気の子どもたちのためのキャンプのほかに、家族を対象としたグリーフキャンプも行っています。キャンプを通じて、大切な家族の一員をなくした悲しみや自責の念(家族が亡くなったのは誰のせいでもありませんから、それは本来必要のないものです)を見つめ直すのです。 アイルランドは日本から遠く離れた、カトリック教徒が大部分を占める国ですが、自然観や宗教観には意外と日本と近いものを感じます。たとえば、アイルランドにはたくさんの妖精がいます。それは日本の座敷童子や河童のような存在、ケルトの古い文化を色濃く残したもので、一般的なキリスト教の価値観からは少しずれているようです。 また、これはうまく説明できないのですが、アイルランドの人たちの持つ無常観は日本人のそれと近いものがあります。日本人の無常観は自然災害の多い日本の風土と関係があるといわれますが、アイルランドも大飢饉を幾度となく経験し、多くの命を失い、多くの人が移民として国を離れました。
この庭で、グリーフキャンプの参加者は思い思いの時間を過ごします。好みの場所に座ったり、ケルトの文様をモチーフにした歩道をゆっくり歩いたり、空を見上げてみたり。そうしてキャンプの間に話したこと、感じたことを思い出し、ほかの家族の悲しみとの向き合い方について思いを巡らせ、ゆっくりと亡くなった家族との新しい関係を築いていくのです。 私たちがグリーフキャンプを行うときも、妖精たちの棲む庭(のようなもの)を用意できればいいなと思います。アイルランドの人たちとどこか似通ったメンタリティを持つ私たちは、この庭のように妖精が目の前を横切っても当然と感じられる、穏やかで静かな場所があれば、悲しみと向き合う方法を少しうまく見つけられそうな気がします。 |