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「ふるさと納税」 詳細解説

読み:
ふるさとのうぜい
英名:
Furusato Tax System

"都市圏といわゆる地方との間には、雇用環境や景況感、インフラの整備状況など、さまざまな面で格差が存在する。このような格差を解消するには地方自治体の財源を確保する必要があるが、そもそも過疎化や高齢化により住民が少ない地域にとって、住民税の増収は期待しにくい。こうした状況を打破するために、2008年度税制改正に「ふるさと納税」という考え方が盛り込まれた。納税者が住んでいる自治体ではなく、自らが望む自治体を選んで納税することで地域を後押しする税制だ。

都道府県や市区町村に対してふるさと納税として寄付をすると、寄付額のうち2000円を超える部分について、一定の上限まで原則として個人住民税と所得税から全額控除される。個人住民税と所得税からの控除を拡充することで、実質的に税金の一部を「ふるさと」に納めるのと同じ効果が得られる。法律的には、2008年に地方税法などの改正により導入され、2009年4月に施行された。当初、「ふるさと」を納税者の出生地に限定するかどうかについての議論もあったが、最終的には対象とする自治体の制限はなくなり、納税者は好きな自治体に寄付できるようになった。また、個人所得税だけでなく、国税である所得税も控除対象となった。

実績をみると、2009年度から2014年度までに約108万人が約1126億円を寄付し、控除された税額は373億円に上る。ふるさと納税を行う際の個人住民税と所得税の控除率は、2014年まで1割だったが、2015年度税制改正を受けた地方税法などの改正により、2015年4月から2割に引き上げられた。また、この改正では「ふるさと納税ワンストップ特例制度」も創設された。従来、ふるさと納税による税の控除を受けるには確定申告が必要だったが、確定申告を行わない給与所得者などで、納税先の自治体が5つ以内の場合に限り、確定申告をしなくても寄附金控除を受けられる。

総務省は、ふるさと納税には3つの意義があると説明している。第一に、納税者が寄付先を選ぶことにより、税金の使い方について考えるきっかけとなる。第二に、故郷だけでなく応援したい地域を後押しでき、地域の自然保護など環境創生に役立つ。第三に、国民に対して自治体が地域の魅力をアピールすることで、自治体間の競争が進み、地域活性化につながる。また、ふるさと納税をした人に対して、各地の特産品が贈られるなどの特典も多く、人気を呼んでいる。

ふるさと納税をした人は、税金の使い道を選ぶことができるのも大きな特長だ。環境やエネルギー分野の使途をみると、群馬県はふるさと納税による寄付金を、尾瀬国立公園の保護・育成や、世界遺産である「富岡製糸場と絹産業遺産群」の保存・活用にあてている。また、埼玉県の飯能市は、寄付金の一部を森林文化都市基金や緑の基金などとして積み立てている。エネルギー関連では、岩手県の葛巻市が新エネルギーの導入などに、長野県の王滝村が再生可能エネルギー施設の建設などに、それぞれふるさと納税による寄付金を活用している。
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