A: 「汽水」(きすい)とは、海水と淡水が混じり合い、それらの中間にあたる塩分濃度をもつ水のことだ。汽水湖だけでなく、内湾や河口部でも広くみられる。中小河川では河口から数km程度だが、大きな河川では数十~数百kmあたりまで汽水になる場合もある。このような汽水域では、水塊が二層に分かれる「成層」が形成されやすく、塩分濃度や水温の違いにより水中で上下の層が分離する現象がみられる。塩分濃度の変化を受けて、多くの生物にとって海や河川、湖沼とは大きく異なる生息場となっている。
A: 海水と淡水が混在する汽水湖には、有機物や栄養塩類などの物質が集まりやすく、生物生産性が高い半面、富栄養化が進みやすい。これらの特長は、生物に海や湖沼などとはちがう独自の生息空間を与える。汽水湖にはさまざまな生物が生息しており、総じて生産性が高い。シジミ、アサリ、ホッキガイなどの貝類、モクズガニ、テナガエビなどの甲殻類、ゴカイ、イトミミズなどの底生生物、ハゼ、ワカサギ、サケ、ウナギなどの魚類、ウ、カイツブリ、カモメ、ガンカモ類をはじめとする野鳥のほか、アマモ、アオノリ、ツルモなどの植物やプランクトンがみられる。